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宇宙航空研究開発機構

調布航空宇宙センター遷音速風洞設備

JAXAメールマガジン第216号(2014年3月5日発行)
中道二郎

JAXA調布航空宇宙センターはJR中央線三鷹駅南、調布市との市境にある。Googleの航空写真を見てみた。地型は悪いが3万坪の敷地のド真ん中に遷音速風洞設備がある。この設備を取り囲むように多くの建屋が見えるが、物理的に航空宇宙センターの中心はこの風洞であることは確かであり、組織的な生い立ちからもこの風洞が原点である。

遷音速風洞は2m×2mの断面の廊下様の風路に、音速に近い風の流れを作ることができる。この風洞が完成したのは1959年である。YS-11の開発計画が持ち上がった頃のことである。YSはプロペラ機であり、巡航速度のマッハ数は0.5程度である。YSの開発は当時の国家プロジェクトであり重要課題であったとはいえ、この風洞はYSの開発にはどう考えても立派すぎる。この風洞の建設を立案した先達の、日本の航空の将来にかけた意気込みを感じる。YSの後も、どんどん国産の旅客機を輩出する“予定”であったことが窺える。
その後、遷音速風洞は防衛省機など様々な航空機の開発で貢献してきたが、国産旅客機の開発で活用されることはなかった。来年、我が国初の国産ジェット旅客機MRJが初飛行すると聞く。MRJ開発には、この風洞は大きな役割を担った。やっとこの風洞の本来の使命を果たしたのだと思う。風洞建設から55年が経った。まだまだ、私より若い。MRJの後も一層の活躍に期待したい。

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