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宇宙航空研究開発機構

逆転の発想(前編)

JAXAメールマガジン第231号(2014年10月20日発行)
飯島朋子

学生の時に『秋山仁のおもしろ数学発想法』という本を読みました。難しい数学の問題を解くのに戦略的な発想をして簡単な問題に変えてしまうという例題が取り上げられていました。数学に限らず何か難しい課題にぶつかった時に「ものの見方を変える」、つまり「発想を逆転」する事で解決策は意外と簡単に手に入るのではないかということをその本は教えてくれたような気がします。

今までこれは逆転の発想か!? と考えられるものをたくさん見てきました。

例えばNASA エイムズ(Ames)研究センターが持っている風洞(※1)。それはB737が入る程の巨大な風洞でした。この風洞全体と自分を一緒に撮ってもらった写真を見ると自分が本当に小さく写っています。この風洞を見るまでは、風洞実験では風洞の大きさに合わせて実機の何分の1となる機体モデルを作るのが当然と思っていました。
しかし、NASAで見た風洞は機体モデルではなく実機そのものを風洞に入れる、実機が入るぐらい風洞を大きくするという発想、まさに逆転の発想で設計されていました(実際、このような発想であったという確証は取れていません。あくまで私の感想です)。

例えばこれもまたNASA AmesにあるVertical Motion Simulator(※2)。このシミュレータを見るまでは体感(動揺感覚)を与えるフライトシミュレータとは、コックピットの箱に油圧や電動で動くモーションベース(動揺装置)をつけ、そのベースを動かすものだと思っていました。
しかし、NASAで見たシミュレータは垂直の動きや動揺感覚を与えるため、コックピットの箱ごと、その下のモーションベースごと、シミュレータの部屋の中を上下左右に動かすというものでした。イメージとしては部屋の床・壁・天井にレールがついていて、箱がレール上を動く、垂直感覚を作りたければ、箱がレールに沿って壁を登り下りするもの。
なるほど! 通常のモーションベースで垂直感覚を作るのが難しければ、コックピットの箱ごと部屋の中を動かしてしまえば良いのか! アメリカ人の発想はダイナミックだな~と、これも逆転の発想だと思いました。

技術の世界だけではなくデザインの世界においても逆転の発想は様々。先日訪れた「Next Eco Design展2014」(※3)でも、次世代のエコをテーマにした様々な分野のデザインが提案されていて、そのアイデアというか発想の転換には目を見張るものがありました。

自分も何か壁にぶち当たったら逆転の発想で切り抜けたいと思ってきましたが、DREAMSプロジェクトチームの LOTAS(LOw-level Turbulence Advisory System)(※4)の研究開発(LOTASについては第220号のメルマガも参照してみて)でちょっとした逆転の発想を取り入れてみました。NASAにはとても適うものではありませんが、この我ながら逆転の発想は意外と航空会社には好評となりました。

それは、どんな発想? そして、LOTASのどんな機能か??
それについては次回メルマガでふれたいと思います。後編を読んだら「な~んだ、そんなもの!?」と思われるかもしれませんが、まあそうおっしゃらず乞うご期待!!

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