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宇宙航空研究開発機構

飛行機と流れの可視化

2019年9月20日
小池俊輔

こんにちは。空力技術研究ユニットの小池俊輔です。今回はじめての投稿です。よろしくお願いします。

私は学生時代から、「渦」や「衝撃波」といった物理現象を「流れの可視化」という手段を使って研究してきました。実験における「流れの可視化」は、レーザやカメラ、特殊な塗料や液体といった様々なものを組み合わせて、空気や水の流れている様子を目に見えるようにすることです。上手に実験すると、本当に綺麗な流れの様子を、写真や動画で見ることができます。この「綺麗な」には、私の主観もだいぶ入っていると思いますが、長くこの手の実験をしている方には、同意してもらえるのかなあと思います。ということで、私は、この「流れの可視化」が好きで、仕事として続けられているのは、幸せだと思っています。

私の先輩たちが、すでにコラム(上野さん:第219回廣谷さん:第282回)で取り上げていますが、飛行機を開発するために、風洞が利用されています。風洞試験では、色々な実験をして、色々なデータを計測します。一番大事な計測は、飛行機に働く力(空気力)の計測です。空気力は飛行機の性能そのものなので、空気力を精度良く測ることは、風洞試験では何より大事です。そのために、長年、地道な研究が続けられています。
空気力は、いわば、飛行機設計の結果にあたるものですが、その結果である空気力が、どのような理由で良くなったり、悪くなったりするのかを知ることも、やはり重要です。そのための強力なツールの一つが、「流れの可視化」です。どんなふうに、飛行機の周りを空気が流れているか分かると、どこが良くて、どこに問題があるか、はっきりするからです。

では、飛行機の周りを、どんなふうに空気が流れているのか見ようと思ったら、どうしたら良いでしょうか? 「飛行機の窓から、雲の流れを目で追いかける」というのが思いつくようでしたら、私の仲間かなあと思います。風洞試験でも、実際に同じようなことをしています。雲は水滴の集まりですが、風洞では、油の粒子を使用します。なぜ油を使うかというと、水に比べて、油の粒子の方が、消えて見えなくなるまでの時間が長く、観察に向いているからです。また、油の粒子は、直径が1ミクロンと本当に小さいです。それは、粒子が空気とほぼ同じように動いてくれないと、空気の流れをきっちりと追えないからです。風洞の「流れの可視化」では、この小さい油の粒子(煙をイメージしてください)を風洞の中に沢山ばらまきます。そして、その粒子の群れが流れる様子を、レーザやカメラを利用して計測しています。具体的にどんなふうに計測しているか? それは、次回詳しく紹介しようと思います。

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