スマートフォンサイトを表示

宇宙航空研究開発機構

人とのつながりを大切に

風洞技術開発センター
中北 和之(なかきた かずゆき)

子どもの頃は昆虫図鑑や電車の図鑑、大人になったら植物の育て方の本。読んで憶えることが好きな中北さんは風洞計測研究のスペシャリストでもあります。

調べるの大好き!

幼い頃は機械よりも昆虫が好きな子どもでした。蝶やトンボやケラなどの昆虫を捕まえては虫かごに入れて観賞したり、知らない昆虫を見つけては「これはなんだろう?」と図鑑で調べたりしていました。小学校低学年の頃の思い出です。学年が上がるに従い、徐々に興味は電車へと移って行きました。「新幹線」や「あずさ」といった特急電車に興味を持つようになり、電車の本を飽きずに眺めていましたね。本や百科事典を読み、自分の知らない新しいことを覚えるのが好きだったんです。
大人になってからの楽しみですか? 畑での野菜作りでしょうか。畑を耕し、種を植え、大きくなるまで育てる。始めは種とか苗なので、そこには野菜の形はありません。でも、育てることで大根なら土の中に大根が伸びていくし、トマトなら花が咲いて実が大きくなってくる。肥料をあげたり、雑草を抜いたりと手を掛けてあげると、ちゃんと野菜の形が出来上がっていく面白さが何とも言えません。

計測の楽しさを知る

高校生になり、進路を考える中で“工学部に進学してもの作りに携わりたい”と思うようになりました。自動車や鉄道などの輸送機械に興味があったのですが、その中でもこれからはもっと飛行機の時代になると考え、航空機の研究が行える「航空学科」を選びました。
大学4年生になり研究室に配属される時には、「流体力学」をやっている研究室を希望しました。今思うと本当に単純な思い込みなんですけれど“流体をやらなきゃ航空じゃない”と思っていたんですね、当時は。研究室では、数msという非常に短い時間で極超音速流れの研究をする衝撃風洞を使った計測技術の研究をしていました。その時の模型は航空機の形はしておらず、鉛筆形とかそういう単純な形の模型の計測試験を衝撃風洞で行い、その面白さの虜になりました。
どんなところが面白かったかですか? 例えば、風洞の中を覗き込んでみても、気流の状態を目で見ることはできません。それが、シュリーレンという計測方法を使えば、気流の状態を知ることができる。圧力の計測でも、1点1点は圧力の数字でしかありませんが、点が繋がれば現象がグラフの上に浮かび上がり、模型の周りの流れを理解することができる。当時、そういうことに凄く感動し、面白いと感じたことを憶えています。

「面白い」に導かれて

大学時代には衝撃風洞の研究をしていましたが、航空宇宙技術研究所(現JAXA)でも衝撃風洞の計測技術に関する研究に携わるようになりました。入所から7、8年後、感圧塗料プロジェクトのリーダから「衝撃風洞で感圧塗料(PSP)による圧力計測をやってみないか」と誘われ、模型の形が分かる画像で圧力分布がそのまま捉えられるPSPの面白さにすっかり虜になりました。衝撃風洞でのPSPに慣れた頃、今度は「PSPをJAXAの大型風洞で使える実用技術として整備して欲しい」と誘われ、本格的な実用風洞で大型模型を使ったPSPにも新しい面白さを感じて10年近く携わっています。最近では流れの速い動きも見える非定常PSPがとても面白いと思っています。いろいろな“面白い”に出会って少しずつ研究の方向は変わってきていますが、目に見えない流れが目で見えるようになる面白さが魅力の風洞の計測技術にずっと携わっています。
仕事では「人とのつながり」を大事にしています。人間関係の間口を広くすると言えば良いでしょうか。風洞の様な大きな設備を使って仕事をしていると特にですが、一人でできることは限られてきます。また、分からないことがあった時にも、自分では持っていない装置が必要になった時にも、気軽に聞けるようなネットワークがあれば仕事も捗りますよね。もちろん、自分たちが困った時だけでなく、相手が困っている時にも力になれる。1+1が3にも4にもなるような、そういう人間関係を築くことはとても大切だと思います。でも、人間関係を壊すことを恐れて“なあなあな関係”になってしまうと仕事にも緩みが出てしまいます。日頃は助け合うが、“言うべき時に言っても根に持たない成熟した人間関係”を築くことが重要だと思っています。

ページTOP