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宇宙航空研究開発機構

ものになるもの

機体構造グループ
神田 淳(かんだ あつし)

物になるものを・・・と、子供の頃たくさんの習い事をしていた神田さん。今は、物になるもの(人の役に立つもの)を世に生み出すため、日々仕事にまい進しています。

パソコン好きないたずらっ子

親の方針なのか、子供の頃は色々な習い事をしていました。水泳、そろばん、リトミック、ピアノ、絵画・・・教会にまで行かされていましたね。
小中と通っていた学校が水泳に非常に力を入れており、小学校4年生から6年生までは毎年、千葉県の勝浦という所で10キロの遠泳を行いました。男の子はみんな赤ふんでしたよ。中学校ではさすがに遠泳はありませんでしたが、国際大会の開催が可能な本格的なプールで授業を受けていましたね。幼少期よりスイミングスクールに通っていたため、水泳、特に平泳ぎが得意でしたので、水泳の授業は楽しかったです。 その学校の敷地には幼稚園から大学まであって、大学のエリアに自由に出入りできました。私が中学生の頃に初期のパソコンが市場に出回り始め、興味を惹かれたんでしょうね。大学の生協に展示してあるパソコンをいじりに、学校帰りや休みの日に生協に通うようになりました。生協の本屋で立ち読みをしたり、親に本を買ってもらったりして色々と調べ、ひたすらプログラムを打ち込んでいましたね。始めは本に載っているプログラムを打ち込んでいただけだったんですが、段々と自分でプログラムを作るようになりました。触ると画面が壊れた様になるプログラムを作り、大学生が触ってびっくりするのを影から見ている様ないたずらっ子でしたね。子供だったんで大目に見てくれていたんでしょう。売り物のパソコンだったのに(笑)
高校生になって、やっと自前のパソコンを買ってもらい、それからは、家に帰るとパソコンばっかりいじっていましたね。当時、周りに同じ趣味の友達はいなかったので、友達と遊んだ後、家に帰ってパソコンをいじるという生活でした。

人の役に立つ研究がしたい

高校に上がる時に引越したため、高校と大学は小中学校時代に通っていた学校には進みませんでした。大学では海洋工学や宇宙工学を学んでいました。卒業論文の研究テーマは担当教授によって事前に何点か決められており、その中から自分のやりたいものを選ぶようになっていました。私は、宇宙に関するテーマ、その中でもコンピュータプログラミングの要素が多い衛星制御の研究に取り組みたかったのですが、そのテーマに人気が集中してしまい、あみだくじの結果、複合材の研究をすることになりました。複合材の疲労強度に関する試験をひたすらやっていましたね。大学院ではぜひともと思い、院の面接試験でそう正直に述べたことが良かったのか、修士論文のテーマとして衛星制御の研究をすることができました。非常に難しい研究でしたが、楽しかったですね。
就職に際して公務員の資格を取得し、当時はまだ国の機関であったJAXAの前身機関のひとつ、航空宇宙技術研究所(NAL)に入りました。当時、機体部と呼ばれる部署に配属になり、空力弾性の研究に携わるようになりました。自分にとって未経験の分野のため入所して直ぐに成果を出せるわけではないので、1、2年目は上司の仕事を手伝いながら勉強させて貰いました。
実用化につながる研究がしたいという思いがあり、その一つとして雪氷モニタリングの研究を進めています。JALから「雪面滑走路でも飛行機が安全に止まれることを研究で実証して欲しい」との依頼を受けたのがきっかけです。研究に入る前段階として、滑走路上の雪氷量や雪質を滑走路の下から計測できる装置の研究開発に取り組んでいます。
2006年から2009年の3年間、航空局に出向し、ボーイング787やMRJなどの型式証明審査のお手伝いをさせていただきました。新しい航空機を開発する時に様々な解析や試験をするのですが、その方法が妥当な方法なのか、技術的にきちんと考えられているのか、ということを審査する仕事です。自分の専門分野以外にも様々な技術分野について審査をする必要があるため、色々と勉強しました。航空局の職員や機体メーカーの方々から教えていただくことも多く、とても貴重な経験をさせていただいたと思っています。

芸術は大切に

休日は、妻と娘ふたりの4人でいろいろな街に散歩に行くなど、家族みんなで楽しめるような過ごし方をしています。後は、ピアノですね。子供の頃は自分でやりたくて通っていたわけではないので嫌だったのですが、ここ数年、ピアノを弾きたいなと思うようになって。数年前から習い始めました。何で弾きたいと思うようになったのかですか? 仕事ができる人って、結構、芸術的な要素もお持ちだったりしますよね。自分も、そういう要素を少しでも磨きたいなと思って。週に1回習いに行っているのですが、課題が結構たくさん出て、それがどんどん溜まっていって大変です。あ、でも、好きでやっていますよ(笑)
仕事をする上で大切にしていることですか? 昔は、自分ひとりで頑張って・・・という考え方をしていましたが、今は、色んな人と一緒に研究することでできるだけ早く実用化につなげることを心がけています。自分だけ、JAXAだけで全てをやるのではなく、できるだけ他機関と共同研究するようにしています。本誌『空と宙』で紹介しているひずみセンサーで言うと、小型化や性能評価をJAXA、電気回路を芝浦工業大学、とそれぞれが得意とする分野を担当することで研究を加速させています。

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