空力騒音と非定常空力の融合による音源解析技術

今日の航空機開発では、騒音低減化技術に対して強い要求があります。機体から発する空力騒音は一般的に複数個所から騒音が発生しているため、一本のマイクロホンで計測すると全体としての騒音レベルを評価することはできますが、どの場所からどれ位の大きさの騒音が発生しているかを把握することは困難でした。そこでJAXAでは、多数のマイクロフォンを使用して、音源で発生した音波が各マイクロホンに到達する伝播時間差を利用して音源位置とその大きさを特定する技術を開発してきました。

6.5m×5.5m低速風洞における音源探査計測

音源探査による音圧分布結果

一般的に風洞試験では縮尺模型を用いるため、発生する空力騒音の周波数は縮尺比の逆数に比例した高周波数帯域へシフトします。実際に実機で規制される周波数までの評価を行うためには、高周波帯域における騒音評価技術が必要です。また、空力騒音を低減する上で各騒音源がどれくらいの大きさの騒音であるかを高精度に計測することが必要です。
これまで、80kHzまでの高周波帯域(1/8スケールの模型を使って実機の騒音予測が可能な範囲)について計測可能な技術を開発しました。また空気の流れの状態に依存しない騒音レベルの補正技術を開発することにより無風時の定量精度を向上してきました。

さらに、画像処理法を適用した音圧分布の高解像度化や、騒音計測と光学計測を同時に実施し、騒音の原因となっている空力現象を特定するための技術を開発します。また、ケブラー壁を有する無響測定部を使用した風洞試験において、空力現象と騒音を同時に高精度で評価できる技術を開発します。