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宇宙航空研究開発機構

ヒューマンファクタ技術

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2017年4月5日
調布飛行場および名古屋空港において飛行試験を行いました。

2016年12月下旬から2017年1月中旬にかけて、調布飛行場および名古屋空港においてJAXA実験用ヘリコプターを使った「パイロット視覚情報支援技術(SAVERH)の研究」の飛行試験を7回にわたり行いました。...[続く]

パイロットのヒューマンエラーを防止する技術の研究の1つとして、JAXAではこれまでDRAP(日常運航データ再生ツール)を開発し、現在エアライン各社で使用されています。DRAPとは、飛行データを取り込んでパイロットへ運航状況をフィードバックできるシステムです。主に将来の運航安全性を向上させるためにエアライン各社が行っている、DFOM(Daily Flight Operation Monitoring)やFOQA(Flight Operational Quality Assurance)といった活動に利用されることを目的としています。更にDRAPの技術は各種のシミュレーション、飛行再現、無人機操縦端末として広く飛行システム分野で利用されており重要な基盤技術にもなっています。
ヒューマンエラーを防止するための他のツールとして、エアライン各社ではCRM(Crew Resource Mangement)訓練が普及していますが、特に初期訓練においてどのように実践していくか課題が多く、訓練現場の混乱を招いているのが現状です。
更に、ヒューマンエラーを防止するためには、実際にパイロットが操縦時に確認する計器・ディスプレイの表示方法も重要です。コックピット計器とは別に設置される補助的ディスプレイは、耐空性の観点からはグレーですが、今のところ航空局からも明確な基準が提示されていません。近年この種のディスプレイに対する安全性の要求が厳しくなってきていますが、必ずしも人間工学的に妥当な方法となっていない可能性があります。
これらさまざまなヒューマンエラー防止ツールについてこれまで別々の分野の課題として研究されてきましたが、本研究では、これまでのJAXAの航空人間工学研究の経緯と成果、並びに運航・航空機製造現場での課題を鑑み、ヒューマンエラー、疲労、状況認識、ノンテクニカルスキル等のさまざまな計測指標について横断的に矛盾無く計測するための指標体系を構築することを目的します。

日常運航データ再生ツール(DRAP)

航空機に搭載されているデータレコーダーに記録された約100項目に及ぶデータを分かりやすく表示する「日常運航データ再生ツール(DRAP: Data Review and Analysis Program)」を開発しました。
DRAPは、日常運航において取得した飛行データをパイロット等へフィードバックすることで、将来の運航安全性を向上させるためにエアライン各社が行っている、DFOM(Daily Flight Operation Monitoring)やFOQA (Flight Operational Quality Assurance)といった活動に利用されることを目的としています。DRAPの利点は、飛行データをアニメーションとして可視化することで、パイロットが自分の飛行の様子を直感的にレビューすることが可能となる点です。

CRMスキル指標の研究

近年、航空機事故やインシデントの約70%弱が人的要因に関与すると言われており、この人的要因にかかわる事故防止の有効な手段であるCRM(Crew Resource Management)訓練がエアライン各社で実施されています。CRMとは安全で効率的な運航を達成するために全ての利用可能なリソースを活用することと定義されています。
JAXAはCRMを実践する能力であるCRMスキルに焦点を当て、教育訓練や日常運航でCRMを実践する行動の指標となるCRMスキル行動指標の開発や、 CRMスキルが本当に実践されているかを計測するための計測指標を開発する研究を行ってきました。提案のスキルは大まかに5種のスキルに分類されます。その分類の中に各スキルの構成要素が存在し、行動指標は各構成要素の下層に位置します。

パイロット視覚情報支援技術(SAVERH)の研究

同じ場所にホバリング(滞空)することが可能なヘリコプターは、飛行機(固定翼機)のように離着陸に際して滑走路は必要なく、病人・けが人の救急搬送や災害時の物資輸送など、さまざまな場面で活躍しています。しかし、夜間や悪天候時などのように視界が確保できない状態での飛行は、送電線など地上の障害物を避けることが困難であり非常に危険です。そのため、いつでもどこでも安全に飛行して、与えられた任務を達成できるような技術が必要となります。

SAVERH(Situational Awareness and Visual Enhancer for Rescue Helicopter)は、災害時の救援や捜索救助活動を、夜間などでも安全に実施できるようにするため、パイロットに窓の外の状況や飛行状態を視覚情報として提示する技術です。

周囲の情報を取得するために、JAXAの所有する実験用ヘリコプターの機外に赤外線カメラやレーザー距離計などのセンサーを搭載したポッドを取り付けます。

センサーポッド

赤外線カメラは、夜間でも周囲の状況を撮影できるという特徴があります。赤外線カメラからの画像を、コックピット計器板のディスプレイやパイロットが装着したヘルメットマウントディスプレイ(HMD)に表示します。
レーザー距離計は、地上の障害物との距離を測定し、障害物の存在を視覚情報として表示します。パイロットは接触の危険がある送電線などの障害物の存在をいち早く察知し、これを回避することができます。
赤外線カメラやレーザー距離計を内蔵したセンサーポッドは、HMDの動きと連動し、パイロットが見た方向を撮影することができます。

ヘルメットマウントディスプレイ(HMD)

赤外線カメラ表示

レーザーによる障害物表示

また、地形データベースから生成した3D地形表示、精密な飛行誘導を行うためのトンネル型誘導表示を組み合わせることより、奥行き感や遠近感、高度感が得られるとともに、目的地までの飛行経路の認識を容易にすることができます。

3D地形とトンネル誘導表示

OPSAMS(Operational Procedure Safety Analysis Monitoring System)

電人技術のひとつとして、飛行データから、パイロットエラー等の安全性に影響を及ぼす不安全要素を抽出する技術OPSAMS(Operational Procedure Safety Analysis Monitoring System)の開発に取り組んでいます。

 

OPSAMSのイメージ

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