搭載モデルベース制御と統計的設計技術

航空機の飛行を補助する新しいセンサー、情報システムの導入に伴って、飛行制御系もこれらから得られる情報を有効に利用して性能を改善することが要求されます。また、飛行領域が広範囲に及ぶ高速輸送機や、他の惑星を飛ぶ探査航空機など、これまでにない環境を飛ぶ航空機に対しても対応可能な制御技術が必要になってきます。このように多様化する制御対象及びミッション要求に対応するための系統的な飛行制御系設計手法の確立が重要です。
大規模なシステム開発においては、リスク管理、信頼性向上、コスト削減等の観点から、開発初期の概念検討段階から短い設計サイクルを繰り返すことで、リスクを抑えた効率的な開発を行うことが志向されています。一方で、少ないリソースで実現する飛行実証手段として、小規模な無人機システム等の開発機会が増加してきていますが、ここにおいても効率的な設計による短期間の開発が必須です。このため、飛行制御においても設計の効率化、自動化が重要な課題となっています。

本研究では、機上の計算機に搭載した運動モデル情報を活用して、高速/高空から離着陸までの広範な飛行領域をカバーし、緊急時や気象変化に応じた経路変更など、柔軟な運用が可能となる飛行制御システムの実現を目指します。
また、さまざまな誤差や不確定性を考慮したモンテカルロシミュレーションを用いて性能を評価する技術により、飛行制御系設計評価を効率化するとともに、信頼性を向上し、システム設計への効果的なフィードバックツールを実現します。