燃料多様化による環境負荷低減技術

化石燃料に代わるバイオ燃料などの代替燃料は、航空機用としても燃料費の高騰や地球温暖化防止の観点から注目されています。またバイオ燃料は、PM(すす)の排出が少ない等の環境適応性に優れた面があることが分かってきています。しかしながら、バイオ燃料に変えた場合の耐空性のリスクや環境影響への評価は、まだ十分ではありません。

JAXAが参加しているIFAR(国際航空研究フォーラム)では代替燃料のワーキンググループが立ち上がり、代替燃料の航空分野への普及に関する課題について検討が始まっています。JAXAでは、国内で製造された植物由来の代替燃料を用いたガスタービン燃焼器の燃焼試験や、NASAの代替燃料を用いた飛行試験の衛星画像解析による代替燃料使用による飛行機雲削減効果の調査等を行っています。また国際民間航空機関(ICAO)で進められている代替燃料普及促進に向けた国際基準作りにも参加貢献しています。またバイオジェット燃料100%でエンジン運転試験を行い、排出されるPMの量が通常のジェット燃料(Jet A-1)に比べおよそ6割少ないという環境面での利点も確認できています。

ジェットエンジンと同じ機構で作動している産業用ガスタービンは、発電用を初め大小様々なエネルギー供給装置として世の中で広く用いられており、燃料の製造過程に必要な熱を発電後のガスタービンの排熱で補うなど様々な応用への波及効果が期待できます。今後、廃材や廃油のリサイクルによる代替燃料の性状分析や燃焼試験、製造方法の検討を進め、代替燃料の幅広い普及によるエネルギー問題の解決や低炭素循環型社会の実現に貢献していきます。