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宇宙航空研究開発機構

OH-PLIF計測による燃焼安定化のための高速燃焼診断

燃焼振動は、航空用・ロケット用エンジン燃焼器内に強い圧力共鳴振動を発生させ、燃焼器に致命的な破損をもたらすことがあるため、燃焼安定化(=燃焼振動の抑制・回避)が、エンジン燃焼器開発の主要技術課題となっています。問題となる振動は、航空用で100~1000Hzのオーダーの周波数域にあります。高温高圧の燃焼器開発試験において、10,000コマ/秒の高速OH-PLIF計測(注1)を実施し、時系列的な火炎断層写真の解析から燃焼安定化の指針を示す、いわゆる燃焼診断技術を開発中です。
OH-PLIF計測とは火炎の断層写真を撮影する計測技術のことです。医療分野では、脳に異常の疑いがある場合に、X線CTやMRIによって脳の断層写真を撮影し、ここに出血があるとか、ここに脳梗塞の疑いがある、などと問題箇所の特定を行います。その情報を基に投薬や手術によって問題を除去しようとします。問題の所在を特定する画像診断技術は医療において必須の技術でしょう。
燃焼安定化における高速OH-PLIF計測は、医療分野における画像診断の位置付けに等しいと言えます。燃焼器のどこに燃焼振動を発生させる問題(原因)があるのか、火炎断層写真の解析から問題の所在を特定し、振動を鎮めるための指針を立てて、燃焼器の設計(燃料噴射孔の位置や旋回羽根の角度など)に反映させるのです。
この燃焼診断技術は、ジェット・ロケットエンジン燃焼器に限らず、発電用ガスタービン、自動車エンジン、ボイラー、家庭用ガス機器等あらゆる燃焼機器の診断技術として活用できる可能性があります。

(注1)※PLIF(Planar Laser Induced Fluorescence:平面レーザー誘起蛍光法):着目する分子固有の波長のレーザーシートを計測対象に照射して分子の電子エネルギー状態を励起し,分子が電子励起状態から基底状態へと遷移する際に発するフォトンを検出する手法.燃焼反応の中間生成物であるOHラジカルを対象としたPLIFをOH-PLIFと呼ぶ。

燃焼診断の流れのイメージ

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