導電性複合材料が誘起するガルバニック腐食の研究

ガルバニック腐食の発生を回避するためには、適切な電気的絶縁被覆処理を施すことや発生電位差が小さくなるように接合部における材料対を選択することなどが有効で、日本工業規格JISでは材料相互の組み合わせ可否について大まかな情報が示されています。
しかし近年開発されている先進複合材料は、マトリックスにカーボンナノチューブや種類の異なる強化繊維複数を組み合わせたものや、耐食マグネシウム合金や高強度アルミ合金などを含有されたものが登場してきており、JIS規格の想定とは異なってきています。異種材料を使用した時の腐食・疲労破壊などを回避するため、より精密かつ精緻なガルバニック電位データベースが求められています。
JAXAは、これまで培った複合材料分野の評価試験技術とガルバニック腐食の知見を生かし、種々の軽量合金とCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の組み合わせで耐食性を評価することにより、CFRP製構造材を大量に用いた航空機の信頼性を確保するとともに、設計及び整備に関する指針を得ることを目指します。