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宇宙航空研究開発機構

機能化構造技術

航空機の燃費向上のため誘導抵抗を低減できる高アスペクト比翼を持つ航空機が期待されますが、細長い翼では翼根の曲げモーメントが増大するため、従来の設計ではそれに対処するための剛性と強度の増強による重量増を招き、航空機システムとしての総合的な性能向上は困難です。
また、航空機の構造材料分野において、材料軽量化の研究(複合材料やマグネシウム合金など)は進んでいるものの、構造様式に関する軽量化はボックス構造と呼ばれる構造が主流になって以降あまり注目されていませんでした。一方、材料技術だけでは実現できない一層の機体軽量化のためには、構造自体の更なる軽量化が必要です。この際、軽量化に伴う剛性と強度の低下を制御で補うことで、飛行荷重(運動荷重や突風荷重等)に対する構造健全性を保障できる可能性があります。
そこでJAXAは、以下のセンシング技術、荷重制御(アクチュエーション含む)技術、可変構造設計技術や空力弾性制御技術などを組み合わせた「機能化構造技術」を確立します。これにより高アスペクト比翼を実現できるだけではなく、機体の飛行条件や気象環境に適応した最適な構造変形制御を可能とさせる「機能化」を実現することを目指します。

センシング技術

光ファイバーひずみセンサーによる風洞模型変形計測
(翼上白いライン上に光ファイバーを貼付、ただし光ファイバーは髪の毛よりも細いので見えない)

機能化構造の実現には航空機の変形・荷重・内部応力状態の把握が不可欠で、分布計測に向き、耐ノイズ性や防爆性、重量等でメリットの多い光ファイバーひずみセンサーが有効と考えています。
OFDR(光周波数領域反射測定)-FBG(ファイバー・ブラッグ・グレーティング)によるひずみ計測は世界最高水準の高い空間分解能を有しています。航空機の変形・荷重・内部応力分布をリアルタイムに把握するために計測速度の向上・温度環境変化への対応を行い、安定した計測技術の確立を目指しています。

荷重制御構造技術

翼に空気力が作用すれば変形が生じますが、作用する空気力は従来型の舵面を適切に配置し、動かすことで制御できます。空力荷重分布の制御を行うため、空力性能の悪化を抑え、かつ構造強度上適切となる空気力を、翼のどの場所にどれだけ発生するようにしたら良いか、またそのための舵面位置や角度を求める構造最適化設計技術の研究を行っています。
更に、荷重制御状態を評価する翼変形制御シミュレーション、低剛性翼で懸念される大変形とこれに伴う非線形流れに対応できる空力弾性解析技術を確立します。将来的には、下に説明する可変構造を適用した滑らかな翼面変形による制御も考えています。

可変構造設計技術

構造内部に分散配置可能な先進アクチュエーターを適用することにより、生物のようにしなやかに変形制御可能な構造(モーフィング)の実現を目指しています。変形機構に必要な重量や変形させるのに必要なエネルギーに関して従来舵面からの改善を実現するとともに、風洞試験により空力荷重下での駆動を実証します。
また機能化構造システムの適用を見込んだ将来機体システムの検討を行っていきます。

翼模型モックアップ(名古屋大学との共同研究)

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