機体騒音低減技術の研究開発(FQUROH+)

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2017年11月10日

飛行実証において設計どおりの低騒音効果を確認
- 石川県のと里山空港での実験用航空機「飛翔」を用いた飛行実証試験が終了 -

FQUROHプロジェクトでは昨年の初期段階の技術を適用した飛行実証試験(予備実証)に続き、低騒音化の設計を改良し、今年も9月13日から10月1日までの間、石川県のと里山空港にて機体騒音低減技術の飛行実施試験を実施しました。期間中、実験用航空機「飛翔」によるフライトは17回、機体から発生する騒音の計測を222回行い、低騒音化技術の検証に必要となるデータを全て取得することができました。

今回の試験で「飛翔」のフラップと主脚に取り付けた低騒音化デバイスは、低騒音化設計を進めて最適なものとし、昨年の実証結果も踏まえたものとなっています。デバイスを取り付けた2つの場所は、航空機の着陸進入時に発生する機体騒音の主な発生源因となっており、プロジェクトが低騒音化のターゲットとして注目している部分です。低騒音化技術の効果と実用性を評価するためには、実際に航空機に適用し、飛行している環境でこれらの部分から発生している音を計測することが重要となります。

現時点において実際の飛行時計測データ(速報値)からは、最適化した低騒音化設計の効果をみることができました。フラップも主脚も設計で意図したとおり、計測点直上を通過する瞬間に、フラップはオーバーオール値で3dBの低騒音化、主脚は4dBの低騒音化を確認しています。本プロジェクトで確立する技術が、将来新規に開発する機体に適用された際には機体全体でも4dBの騒音低減効果が得られることが期待されています。

図 音源計測結果<音源マップ>の比較(計測点直上通過時)(速報)

今後は、飛行実証試験で得られた計測データの詳細分析を引き続き行うともに、プロジェクトの最終目標である旅客機を用いた低騒音化技術の確立に向けて、MRJを用いた実証実験の準備を進めてまいります。

プロジェクトの成果は共同で研究開発を行っている国内企業3社(川崎重工業株式会社航空宇宙カンパニー、住友精密工業株式会社、三菱航空機株式会社)をはじめ航空産業に技術移転し、将来、より静かな旅客機が実現されるように進めていきたいと考えています。




※ オーバーオール値
すべての周波数帯の騒音レベルを合計した値。通常、騒音が何デシベル、と言う時には、この値のことを指しています。図1の音源計測結果の図は周波数ごとの変化を示していることに注意。