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宇宙航空研究開発機構

気象情報技術

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旅客機の後方に発生する渦状の乱気流を後方乱気流と呼んでいます。後方乱気流の影響を避けるため、大型機の場合は約2分間先行機との間を空けて離着陸しているのが現状です。この運航方法では、航空輸送量の増大に対応できなくなるのは明らかです。
実際は後方乱気流は風等気象の影響を受け移動・減衰するので、必ずしも2分も待つ必要はありません。
そこで気象情報技術では、風等の動きとともに変化する後方乱気流の挙動を予測し、気象条件に応じて安全な間隔を算出することで、離着陸の間隔を短縮することを可能にします。
また空港周辺に地形の起伏や建物があると、気流が変化して、ウィンドシア(風の急変)や乱気流が発生することがあります。このような大気の乱れ(低層風擾乱)は低高度を飛行している航空機の運航に大きな影響を与え、着陸できずに欠航する事態も発生しています。事前に低層風擾乱の危険性をパイロットにアドバイスすることで、最適な着陸進入のタイミングを判断することが可能になります。
これらの技術により、空港容量の拡大と就航率の向上を期待できます。

後方乱気流の予測に基づく航空機間隔短縮の概念図

低層風擾乱アドバイザリーシステム(LOTAS)

JAXAでは、従来より安価な気象観測センサーを使用し、着陸進入経路上の風の擾乱の状況や10分後の予測データを、パイロットや空港の運航支援者へ伝える「低層風擾乱アドバイザリーシステム(LOTAS: LOw-level Turbulence Advisory System)を開発しています。
パイロットへは、操縦席に設置されているACARSというテキストベースのデータリンク装置で、着陸進入経路上の風擾乱の状況を得ることができます。

ACARSテキスト情報

空港の運航支援者へは、高度ごとの風の状況や10分後の予測情報を示すことで、パイロットへの着陸指示の参考にすることができます。

レーダーエコー画面

風情報画面

これらの情報により着陸のタイミング判断を支援し、無駄な着陸復行(ゴーアラウンド)を減らしたり、乱気流等局所的な風擾乱に備えることができ、より安全で高効率な運航を実現できます。

さらにLOTASの気象観測センサーの代わりに、既に一部の空港に設置されている空港気象ドップラーライダーやドップラーレーダーとLOTASの技術を組み合わせた「空港低層風情報(ALWIN: Airport Low-level Wind INformation)」の開発を、気象庁と共同で行っていました。
ALWINは、2017(平成29)年度から実用化されました。

※空港気象ドップラーライダー: レーザー光によって大気中のエアロゾル(微粒子)の動きを検知することにより、低高度の非降水時の風を計測できる装置

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