スマートフォンサイトを表示

宇宙航空研究開発機構

航空宇宙機内部音響環境改善のための音響解析技術

音響問題は、航空機と宇宙機に共通の技術課題であるため、両者への適用を同時に考えることでシナジー効果を発揮させながら研究を進めています。
例えば、ロケット打ち上げ時の轟音(ごうおん)は、ロケット先端のフェアリング内に搭載される衛星などの宇宙機まで振動させ、故障の原因になります。そのため、音響環境予測は高い信頼性が求められるロケットや搭載宇宙機を開発する上で必須の技術になります。しかし、従来の手法では解析できない周波数帯が存在する※1ため、それをブレークスルーする決定論的※2な音響透過/振動解析技術の開発が強く望まれています。フェアリングの問題として、ハニカム・サンドイッチ、複合材及び吸音材から成る複雑な構造物を透過する音波の予測手法確立も喫緊の課題です。
また、航空機では、亜音速旅客機の機内騒音の低減も国際競争力強化の観点で重要です。騒音低減手法を検討するためには、エンジン等から出る音源、及び機体構造への伝播を高速に予測する解析技術が必要とされます。一方、機体構造を通じた音響透過/振動解析技術はフェアリングで用いた手法が適用可能ですが、航空機独自の騒音低減手法を提案していくことが課題です。
将来的には、超音速機のソニックブームやロケット打ち上げ時の非線形な音の伝播を、広い空間領域において高速・高精度に予測する技術※3も必要とされます。
これら航空機・宇宙機の様々な音響問題においては、音源、伝播、透過/振動の解析技術が共通的な横糸となります。そこで、これらの個々の技術を更に高度化・高速化して世界最先端を目指すとともに、それらをシームレスに使える統合解析ツールの開発を目指しています。

※1: 低・高周波数帯に対応した手法はそれぞれ既に成熟しているが、その間の中間周波数帯ではいずれの手法も誤差が大きく対応可能な手法が存在しないため、Mid-frequency Crisisとも呼ばれる。
※2: 空間的・周波数的な平均値(統計量)を予測するのではなく、低周波数帯から中間周波数帯に亘り現れる音圧のピーク等を含めて予測可能な手法。
※3:高い音圧になると、音の波動は伝播(でんぱ)の最中に次第に切り立ってくることが知られており、これは非線形効果であると言われている。そのような効果を表現した非線形音響伝播ツールの開発も行っている。

フェアリング内の衛星なし/あり時の音響透過解析例(構造変形は倍率を掛けて表示)

亜音速旅客機の機内騒音の解析例(色は音圧レベルの高低を表す)

ページTOP