11/15(水)から3日間、名古屋国際会議場でHeliJapan 2006が開催されました。HeliJapanは「ヘリコプタの先進技術と救命・防災」というテーマで4年に1回日本で開かれている国際会議です。世界中から約400人のヘリコプタの関係者が集まり、大規模災害発生時にヘリコプタによる救援活動をより効果的かつ安全に実施する方法等について発表や議論が行われます。
実験用航空機レポートの10月11日付で紹介したように、JAXAでは「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の研究開発を進めています。このシステムの飛行デモをHeliJapanで実施しました。
D-NETは、航空機と地上局間のデータリンクを用いて運航管理を行うためのシステムです。ヘリコプタに搭載可能なデータリンクシステムは、国内でも既にいくつか開発されています。昨年度総務省消防庁に導入されたヘリコプタには、パイオニアナビコム(株)が開発したイリジウム衛星通信を使った運航管理システムが導入されています。この他、古野電気(株)と川崎重工業(株)が共同で開発した地上波(VHF帯)無線を使ったシステム、およびJAXAが研究開発を進めている次世代運航システムNOCTARNなどがあげられます。これらのシステムはそれぞれ独自の通信方式を採用しているため、データの互換性がありませんでした。D-NETの第一の目的は、これらのシステムのデータを地上のインターネット上で共有化するための標準規格を提案することです。この構想が実現すれば、災害救援機が所属する機関や搭載するデータ通信システムの種類に関係なく情報共有を行うことが可能になります。
D-NETのもう一つの目的は、この標準化された情報ネットワーク上において、救援活動を支援するさまざまなデータベースを整備していくことです。例えば、
- 各機関が保有する航空機の性能や装備品
- 被災地周辺の運航基地の設備、航空機燃料の備蓄状況や給油の待ち時間等
- 災害発生状況、例えば傷病者の発生場所、人数、症状等の情報と周辺の病院の収容能力
- 各防災基地における水・薬品・食料等の備蓄と被災地への輸送状況
- 航空機と連携をとって活動する救急車のような地上車両の運行状況
といったさまざまな情報をD-NET上で一元的に管理することによって、それぞれの任務に対して最も適した機体を選び出し、必要な場所に迅速に派遣することが可能になります。

2日間で計3回のデモを行い、多くの来場者に見学していただきました。テレビ局にも取材していただき、説明者も気合いが入っています。
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