宇宙航空研究開発機構

MuPAL-ε シュードライト実験@筑波宇宙センター

調布13:50-調布15:20 (1+30)

10月29日の大樹町での実験に引き続き、航空プログラムグループが総務省からの受託研究として行っている「疑似準天頂衛星飛行実験」の総仕上げとして、JAXAの筑波宇宙センター上空にMuPAL-εを飛ばして実験を行いました。筑波宇宙センターには人工衛星等の試験をするための大きな建物が数多く建っていて、都市部でビルが立ち並ぶ様子と似た状況になっています。こうした建物の間で上空のヘリコプタから送信された測位信号を受信して、建物による電波の反射に対して、新しい形式の信号でマルチパス(多重伝搬)誤差が低減できることを示すのが、今回の実験の目的です。


手前の自動車が受信機を積んだ移動局です。
屋根の上にアンテナを乗せています。
実験中は前進して左右の建物の間に入ります。
こういう状況を衛星測位の業界ではUrban Canyon(都会の峡谷)と呼びます。



調布飛行場を飛び立って20分、筑波宇宙センターが見えてきました。



上空から見た筑波宇宙センター。
建物がたくさんあります。


宇宙センター上空でホバリング中のヘリコプタ。
高度は2000ft(約600m)です。

ところで、シュードライト(疑似衛星)は、GPS衛星と同様の信号を送信していますが、GPS衛星から送信されている信号には、衛星との距離を測るための情報の他に、衛星の位置を示す情報が含まれています。これはシュードライトではヘリコプタの位置に当たります。今回はヘリコプタの位置のデータをシュードライトの測位信号に乗せて伝送する実験を行い、見事に受信に成功しました。実際に測位に使えるシステムに大きく近づいたと言えます。


実験中の移動局モニタ画面。
右側のウィンドウに、ホバリング中のヘリコプタの位置(軌跡)がプロットされています。

筑波宇宙センターの周辺には住宅地があって騒音の心配もあるため、5分間のホバリングを2回という、短かめの実験にしましたが、今までの経験を生かして、 1回のフライトで所期のデータを取ることができました。念のため騒音の測定も行いました。特に苦情をいただくことも無く、ホッとしています。
実験で取得したデータは、これから解析を行います。大樹町で取ったデータではマルチパス誤差が半減する成果も得られており、結果が楽しみです。
今回の実験は、前回と同様に測位衛星技術株式会社と共同実験ですが、JAXAの宇宙部門の測位衛星システム室とも共同で行いました。基準局のGPSアンテナは誘導・制御技術グループで設置しているものを使わせていただきました。地元の方にもお世話になりました。ありがとうございました。

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