宇宙航空研究開発機構

MuPAL-ε Micro-GAIA機能確認@伊豆大島 -Mと風と鎌倉大仏-

10人中7人に「晴れないよ、雨だよ、フライトはきっと無理だよ」と言われていた今日、晴れもせず、かといって雨が降ることもなく、どんよりとした曇り空になりました。雨が降るところまでいかずフライトできたのは、鎌倉大仏のご利益だったのでしょう(※本文後半参照)。

今日のミッションも昨日と同じ、Micro-GAIAと、そのデータを使った表示システムの機能確認です。


ところで、調布飛行場の一角に、昨日から気になっているモノがありました。それは、


大きなMの文字。MuPAL-εのMとお揃いで、ちょっと嬉しかったのですが、



こっちは「山」


フライトが終わった後、真相が判明しました。MではなくW、山ではなくE、つまり東西南北(E-W-S-N)をあらわす記号だったのです。
ここは、コンパス・ローズと呼ばれる場所で、航空機に装備されたコンパス(方位磁石)を調整するために使われる場所なのだそうです。地上に描かれた白い線の上に機体を停めて、方位角を変えながら磁石を較正していくそうです(この作業をコンパス・スイングと言います)。

よく見ると、SやNも。文字が全て円中央向きに書かれていたら、すぐに気付いたかもしれません。パイロットが読むための文字ではないのですね。


Micro-GAIAの初期データをとるため、ここで2回ホバーターン。それから調布飛行場を離陸、伊豆大島へ向かいました。

大島空港の滑走路が見えてきました。



昨日は7度と80フィートずれていた空でしたが、今日はどうでしょう。


大島上空で、MuPAL-εのキャビン窓を開けました。
窓を開けるには、機体の速度を落とす必要があります。いよいよパイロットから「速度を落としましたから、どうぞ!」の合図が来ました。その言葉につい油断。

上空の空気に直にふれるのは初めて。あとから感動が。


速度は落ちている、と思い込んで窓を一気に引き開けた途端、ものすごい勢いで風が吹き込んできました。そう、たとえ落としたといっても時速にして180km近く出ているのです。
撮影を忘れて、圧倒されました。

ミッションは終了(ぱっと見ではMicro-GAIAは順調)。伊豆大島Radioに御礼を言って空域を離れ、調布飛行場へと機首を向けました。が、最後にもうひとつミッションが待っていたのです。

鎌倉大仏への参詣です。
行き帰りにちょうど鎌倉上空を通過します。折角なので、鎌倉大仏にお参りしていくことになっていました。
でもこれがまた、大変なミッションなのです。

一度経験すると痛感するのですが、どんなに見慣れた街並も、空から見るとまるで見知らぬ場所になってしまいます。展望台や高層ビルから見下ろしたとき、意外な建物が意外な場所に建っているように感じることはないでしょうか。その感覚と同じです。パイロット曰く、慣れれば空からでもすぐに目標物を見つけられるようになるのだそうです。

実は昨日の帰り道でも参詣を試みていました。
ですが、見つからないのです。
必死で目を凝らすのですが、見つからない。
パイロット2名と運航支援F氏はすぐ見つけられた(さすがに慣れている)ようですが、残りの2名(私もです)はなかなか発見できませんでした。昨日はとりあえず鎌倉全域に向かって拝んで帰りました。

昨日の帰り道、「写るはず」と信じて無我夢中でシャッターをきった写真。大仏様を発見できますか?


ようやくそれが大仏様だと認識して撮影した写真に写っていたのは背中。迫力のある後ろ姿でした。

でも、なんだか悔しかったのです。

今日は心づもりをし、用意万端にして臨みました。
案の定、真っ先に見つけたのはパイロットでしたが、続いて後席クルーも発見。無事、正面から参詣することができました。


今日は無事、正面から参詣できました(空からですけど)。実験終了、ありがとうございました。

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