宇宙航空研究開発機構

飛翔の騒音源が明らかに!騒音源計測試験@能登空港

9月17日から20日まで能登空港で行った騒音源計測試験に、「飛翔」が参加しました。

今回の騒音源計測試験は、「機体騒音低減技術の飛行実証(FQUROH(フクロウ))」の一環として行ったもので、FQUROHは、航空機の機体から発する主な騒音源である高揚力装置(フラップやスラット)や降着装置(脚)に対する騒音低減技術を開発して、最終的には航空機に実際に取り付けて飛行実証しようという研究です。

小型ジェット機を使った騒音源計測試験はこれまで大樹航空宇宙実験場で何度か行ってきましたが、能登空港は今回が初めてとなります。


飛翔を使った騒音源計測試験も初めてで、将来計画している飛翔に騒音低減技術を適用した技術の実証の準備として、まず、飛翔そのものの騒音源を詳しく計測して、その騒音レベルと周波数特性を把握しておくために行います。また、同時に、今後の騒音源計測試験に向け計測技術の向上や能登空港での計測手順の確立を目的とした試験でもあります。


当初9月16日午後から試験フライトを予定していましたが、台風18号の影響で、17日に能登空港入りしました。
左が飛翔、右は能登空港-羽田空港の定期便です。

騒音の計測は、滑走路横に設置したフェーズドアレイ・マイクロホンと呼ばれる装置で行います。
詳細に騒音を計測するため、縦横35mの平らな木製土台を敷き、その上に約200本のマイクを直径30mの円内に放射線状に設置しました。このマイクは毎朝夕に、設置と撤収をしていましたが、約200本もあるため、その作業には約2時間を要しました。

飛翔は、マイクロホンの上空60~120mを、水平飛行したり、降下・上昇したり、またフラップや脚を展開したり、エンジンの出力を変えたりと、様々な状態で通過しました。


今回は、機体の速度と経路について、非常に高い精度が要求されるため、飛翔のコックピット内にTunnel-In-the-Sky(TIS)のディスプレイを設置しました。ディスプレイに表示されるトンネルの中を飛行するように操縦することで、想定した経路を通過することができます。


地上では、フェーズドアレイ・マイクロホンと一緒に置いている二つのカメラを用いて、想定通りに通過したかを確認します。

通過後、3~5分くらいで音源計測の簡易処理の結果が出てきます。フラップと脚から騒音が出ている事が良く分かりました。

今回の試験は、飛翔から発する音以外のノイズを拾わないよう、強風や雨の日は試験を行えないのですが、17日以降は天気に恵まれ、4日間であわせて90回計測することができました。


計測した膨大な騒音源計測データは持ち帰って、これから詳細な分析を行う予定です。

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