法令の改正によって、エアライン以外の一部の小型飛行機にもTAWS(とぉーず)を取り付けることが義務づけられました。TAWSとはTerrain Awareness and Warning System、機能向上型対地接近警報装置です。このTAWS、2007年からはMuPAL-αも義務化されます。このTAWSを取り付けるため、仙台の整備工場に入っていたのです。
航空機の機体の機能は正常であるにもかかわらず、パイロットが周囲の状況を察知することなく、地表や障害物に衝突する事故が起きています。このような事故はCFIT(しーふぃっと、Controlled Flight Into Terrain)と呼ばれています。CFITのほとんどは、視程が悪く外視界がよく見えない中をフライトしていて、気付かないうちに高度を下げ過ぎてしまった結果、起こると言われています。こういった事故を防ぐために、音、声、色、文字を使ってパイロットに危険を知らせる装置がTAWSです。
中央下がTAWSのディスプレイです。地表や障害物が、その高さによって緑、黄と赤で塗り分けられて表示されます。
TAWSには大きく2つの機能があります。
1つは、機体の過大な降下率や対気速度などから、地表への衝突の危険があると判断して知らせてくれる対地接近警報装置GPWS(じーぴーだぶるえす)の機能です。
もう1つは、航空機の位置や高度を、コンピュータに内蔵された地形データベースと照らし合わせて、地面や障害物への衝突の危険があると判断した場合に知らせてくれる地形警報機能です。
新しく備わった機能について、パイロットと整備士とでひとつひとつ確認をしていきます。
TAWSには各機能状態を自己判断するシステムテストの機能も付いているので、フライト前に地上で確認することもできます。
午後から早速、機能確認のフライトが行なわれました。
本日のフライト 11:20-12:35(1+15)
機能確認の結果は良好、フライトを終えてαが帰ってきました。
このTAWSを付けたことで、αが大きく変わったことがあります。最初にも書きましたが、"喋る"ようになったのです。
急激に降下した場合は「Sink Rate, Sink Rate」「Pull Up, Pull Up」、地表面や障害物に衝突する危険がある場合には「Terrain, Terrain」という声が聞こえるようになりました。
※もちろん、αが声を発するのは危険に近付いている場合なので、楽しむべきものではありません!
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