宇宙航空研究開発機構

その2 災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)の機上ディスプレイの機能確認

MuPAL-εは、この日は朝に調布飛行場を離陸し、有人機・無人機連携技術の飛行実験を実施した後、静岡へリポートに着陸しました。午後は、機体点検のために名古屋に移動します。このフライトを利用して、災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)の飛行実験が行われました。

2006/11/15付のレポートでご紹介したように、D-NETは、被災地周辺に集結した多数のヘリコプタや地上の災害対策本部の間でデータ通信を行って情報を共有し、安全かつ効率的な救援活動を実現するためのシステムです。これまで、データ通信の機能確認や運航管理用ディスプレイの評価のための飛行実験を行ってきました。今回は、パイロット用ディスプレイの機能確認・評価が目的です。
このパイロット用ディスプレイは、午前中の飛行実験で使用した、有人機・無人機連携用ディスプレイをもとにして開発されたものです。地上の運航管理システムから送られてくる任務割当情報を表示する機能や、パイロットが地上のデータベースにアクセスして離着陸場の混雑具合などをリアルタイムで調べる機能が新たに追加されています。

ディスプレイに、機体に割り当てられた任務の内容(時間や場所など)が表示されます。現在は、このような情報が全て音声で伝達されているため、多数機が同時に飛行すると状況の把握や管理が大変です。D-NETではすべてデジタル情報化されるため、迅速・確実な情報の伝達・管理が可能になります。

パイロットが割り当てられた任務を確認した後、静岡へリポートを離陸します。MuPAL-εが静岡ヘリポートに立ち寄ったのは今回が初めてなので、皆様から歓迎を受けました。離陸後も、ディスプレイの評価を実施しながら、名古屋空港に向かいました。

災害時、ヘリコプタは傷病者や避難者の搬送、物資輸送、情報収集などさまざまな任務で飛行します。首都直下地震や東海地震などの大規模災害時には、数百機のヘリコプタが被災地に集結し、一日あたり千回以上もの任務が発生すると言われています。このような状況では、従来のように音声による情報伝達だけでは効率的な救援活動を行うことができません。D-NETでは、集結した多数のヘリコプタにそれぞれ最適な任務を割り当て、離着陸や給油の順番待ちのような無駄時間を最小にしたり、ヘリコプタ同士が衝突する危険性を低減したりできるシステムの開発を目指しています。

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