JAXA 航空技術部門

SLIDE CONTROL

FQUROHプロジェクト 旅客機機体騒音低減技術飛行実証プロジェクト

航空輸送量の増加に伴い、地上で聞こえる旅客機の騒音対策は重要な課題となっています。

離陸時の騒音はエンジンの改良により大きく低減してきましたが、着陸時は機体から出る風切り音(機体騒音)が原因で低騒音化が停滞しています。

将来の静かな旅客機を開発していくために、この機体騒音を低減する技術の確立が求められています。

機体騒音とは?

機体騒音とは、旅客機の翼や車輪などが空気中を移動するときに発生する風切り音です。
棒を振った時の風切り音を実際に聞いて、音の違いを体験してみましょう。

検証動画棒振り(騒音低減なし)

棒が空気中を移動することで渦が生じます。そして、渦が時間的に変化したり、渦同士や物体にあたって変形する時に、音が発生します。
棒を断面方向から見てみると、空気の流れは右の動画のようになっています。
棒が移動する方向とは反対の面で渦が発生していることがわかります。

空気の流れ

騒音低減のためには渦の発生を少なくしたり、渦同士がぶつからないようにすることが効果的です。

たとえば、棒に等間隔にテープを巻いて長さ方向の直径をわずかに変えることで、同じ大きさの渦が出にくくなり、音の発生が抑えられます。下の写真のように棒に等間隔にテープを巻いた際に、音がどのように変わるかを聞いてみてください。

テープを巻き付けて直径を変えた棒

検証動画棒振り(騒音低減あり)


FQUROH(フクロウ)プロジェクトでは、航空機のスラット、フラップ、主脚など、渦が発生しやすい部位における騒音低減を目指しています。

スラットとフラップは翼に取り付けられた装置で、離着陸時に揚力(浮き上がる力)を大きくするために用いられます。スラットやフラップ、主脚はせり出しているため渦が生じやすく、騒音の音源となるため、これらの箇所における低騒音化が重要となります。

スラットとフラップ