境界層制御による空力性能向上技術

航空機の排出するCO2の全人類による排出量全体に占める割合は現在2%程度と言われていますが、今後の航空需要の拡大(20年後に2~3倍)に伴い、航空機の環境負荷低減も重要なテーマとなっています。国際民間航空機関(ICAO)ではCO2排出量の年間2%の削減を目標とし、国際航空運送協会(IATA)では2050年には2005(平成17)年当時と比較してCO2総排出量を半減させるという非常に意欲的な目標をセットし、それに向けた国際的な取り組みを推進しつつあります。
JAXAでは、CO2排出量を削減するため、航空機の空力性能向上に寄与する要素技術の開発を目指します。

DNSによる平板境界層内の渦度の変化(エンストロフィーによる可視化図)
(上図)Λ渦,(下図)Λ渦の崩壊.

具体的には、

  1. 1. 境界層受容性解析技術により、攪乱(かくらん)の境界層遷移に与える影響を解析可能とすることで、遷移の遅延、促進を実現する手段を手に入れ、これにより翼型等の設計の自由度を拡大する。
  2. 2. 乱流境界層内での境界層プロファイルを制御することにより、剥離の遅延、圧力回復改善を可能とし、高MDD翼型、高アスペクト比主翼平面型、拡大管(インテークダクト)等の設計の自由度を拡張する。

について重点的に研究していきます。