装備品技術の研究開発

トピックス一覧へ


JAXA技術を採用したGPS補強型姿勢方位基準装置「GPS/AHRS」が、国土交通省の仕様承認を取得(2024年12月5日)

JAXA技術を採用したGPS補強型姿勢方位基準装置「GPS/AHRS(ジーピーエス・エーハース)」(Global Positioning System/Attitude and Heading Reference System)が、国土交通省の認証(仕様承認)※1 を取得しました。飛行に不可欠な航空機装備品のうち、ソフトウェアを搭載したアビオニクス(航空⽤電⼦機器)としては初めての認証取得です。

JAXAはかねてより、ジャイロや加速度計を使った慣性航法にGPSを使った衛星航法を組み合わせた複合航法装置の研究開発に取り組んでおり、無人の実験機などに搭載してきました。2016年からは、本技術を応用した装置を旅客機などの民間航空機で使用することを目的に、実際に装置を開発する多摩川精機株式会社、ならびにソフトウェア開発を担当するMHIエアロスペースシステムズ株式会社とともに、国土交通省の認証取得を目指す活動を行ってきました。その後、国土交通省航空局による計画の審査、開発・検証プロセスの審査や、飛行試験を含む各種試験を経て、2024年7月、仕様承認を取得することができました※2

今回認証を得た複合航法装置「GPS/AHRS」。
GPS受信機のデータを加えた複合航法演算により、動いている航空機等の機体の姿勢や機首が向いている方位を正しく検出する。

今後は、今回の仕様承認を取得するまでの活動で得た技術、ノウハウ、知財を航空機装備品認証技術コンソーシアム(Certification Technology Consortium for Aircraft System:CerTCAS)を通じて国内の航空機産業界で共有することで、業界全体の国際競争力強化につなげることを目指します。

また、JAXAでは、この「GPS/AHRS」をJAXAの実験用航空機「飛翔」に搭載し、さらなる精度向上を目指して改良した航法アルゴリズムを評価するための飛行試験も実施予定です。

JAXAの実験用航空機「飛翔」

飛行試験に向けて飛翔の機内に設置した「GPS/AHRS」


※1 日本における認証には、おもに航空機本体を対象とした「型式証明」と、エンジン・プロペラを対象とした「型式承認」、その他の装備品を対象とした「仕様承認」がある。今回「GPS/AHRS」が取得したのは「仕様承認」。
※2 仕様承認を取得したのは、装置を開発した多摩川精機株式会社。

「GPS/AHRS」を搭載して実験用航空機「飛翔」で飛行試験

2025年2月27日更新