[開催報告] JAXA航空シンポジウム2015~航空安全技術の新たな創造~

2015年10月14日、東京ビッグサイトで開催された「東京エアロスペースシンポジウム2015」会場内シンポジウムステージにおいて、「JAXA航空シンポジウム2015~航空安全技術の新たな創造~」を開催しました。会場へ足をお運びいただいた皆様、ありがとうございました。

今回のシンポジウムでは、航空の安全をテーマにJAXA航空技術部門が研究開発を進めてきた技術に関する講演を行いました。

中橋和博航空技術部門長による「JAXA航空技術部門の最新成果」では、将来、輸送量の増加に対応する技術として研究を行った「DREAMS」プロジェクトの概要、航空技術の基礎基盤となる複合材技術や文部科学大臣賞を受賞した「DAHWIN(ダーウィン)」、電気推進航空機の試験飛行や先日実験に成功した「D-SEND#2」など、JAXA航空技術部門の成果についてご紹介しました。

続いて、航空技術実証研究ユニット越岡康弘ユニット長が、「次世代運航システム(DREAMS)プロジェクトが目指したもの」と題し、2015年3月にプロジェクトを完了したDREAMSプロジェクトの概要と成果について、航空技術実証研究ユニット気象情報技術セクションの又吉直樹セクションリーダが「気象を予測し安全かつ効率的な離着陸を実現する技術」として、航空機が起こす後方乱気流の計測・予測や空港周辺の風情報の計測・情報提供技術など、気象情報技術について紹介しました。
航空技術実証研究ユニット防災・小型機運航技術セクションの小林啓二セクションリーダは、「災害時における航空機の情報共有を実現する技術」として「D-NET」の成果と現在研究を進めている「D-NET2」の紹介を行いました。

その後に行われた「DREAMSプロジェクト質疑応答」では、科学ジャーナリストの寺門和夫氏の司会で会場からの質問にお答えしました。

次世代航空イノベーションハブの伊藤文和ハブ長による「次世代航空イノベーションハブの紹介と安全技術についての取り組み」では、2015年4月からスタートしたイノベーションハブ体制と産官学連携、イノベーションハブで進められている航空安全技術の研究開発について紹介を行いました。

最後に講演者全員が再び登壇し、講演参加申し込みの際にいただいた質問に回答しました。

多数の質問の中で、ポストMRJの研究開発について高い関心が寄せられました。
中橋航空技術部門長は、海外の航空機メーカーとの厳しい競争でも勝てる技術を、JAXAが先行して研究開発していく必要性に触れました。そして、いまJAXAが進めている騒音低減技術や、コックピット技術やエンジン開発、また新たな複合材による機体開発など、20年30年先のシーズ技術にどんどんチャレンジしていきたいと語りました。

また、航空気象に関して、航空機の安全運航のために民間と共同研究を推進していくべきではというご意見もありました。又吉セクションリーダからは、DREAMSプロジェクトで研究開発を行ったLOTASの実例を挙げ、気象庁への技術移転や、JAXAオープンラボ制度によって、民間の気象センサーメーカーと正に共同研究を進めていることをご紹介しました。

最後に、JAXAの航空産業との更なる連携強化に対する要望について、中橋航空技術部門長からは、国立研究開発法人として、産業界との連携は非常に重要であり、そのための仕組みとして、人の交流や自由度の高い知財の促進を行う次世代航空イノベーションハブを2015年4月からスタートしていることを改めて紹介。産学官連携を強化していくことをお伝えして、意見交換セッションをまとめました。

プログラム

講演資料

講演資料データをご覧いただけます。(以下、敬称略)