2026年10月28日
川崎重工業株式会社(KHI)の低速低騒音風洞において、国内最大のCRM-HL 8%半裁模型を用いた機体騒音の風洞試験を実施
2026年7月29日から9月18日まで、KHIの岐阜工場内にある「低速低騒音風洞」において、旅客機の機体騒音についての風洞試験を実施しました。
開放型測定部に設置したCRM-HL 8%半裁模型の様子
これまでにJAXAの「6.5×5.5m低速風洞(LWT1)」において実施した試験では、マイクロホンアレイを用いて着陸形態の旅客機のスラット・フラップ・主脚から発生する機体騒音(風切音)の音源分布を明らかにするとともに、機体騒音を減らすための低騒音化デバイスの効果を調べてきました。さらに、レーザーシート光や特殊蛍光オイルなどを用いて、音源となる流れ場の可視化を実施しました。
試験のページ
- https://www.aero.jaxa.jp/research/ecat/fquroh/news250716.html
- https://www.youtube.com/shorts/ZTBP30IFodU
- https://www.aero.jaxa.jp/research/basic/aerodynamic/news251114.html
これらの試験によって、低騒音化の効果やそのメカニズムが明らかになりましたが、四方を壁で囲まれた測定部の制約から、どの方向にどのくらいの強さの音が伝わるか(音の指向性)を把握することは困難でした。
そこで、国内有数の航空機メーカであるKHIに協力をいただき、「低速低騒音風洞※」にて試験を実施しました。
※ KHI低速低騒音風洞 https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20190328_2.html
KHI低速低騒音風洞の開放型測定部にCRM-HL 8%半裁模型を設置した全景
この風洞は、質の高い騒音計測のために、吸音材で囲まれた無響室の中に測定部がある、という特徴を有しています。
機体下面側に設置した11本のマイクロホンを用いて、模型から広い範囲の角度方向に放射される機体騒音を測定しました。これにより、これまでの風洞試験では難しかった、旅客機が地上の測定点を通過する際の時々刻々の音の履歴を評価可能となり、実際に着陸する旅客機に低騒音化デバイスを適用した場合の効果を推定することができるようになりました。さらに、JAXAの風洞設備では最大70 m/sが限界でしたが、本風洞を用いることで、旅客機の典型的な着陸時の飛行速度である 80 m/s での試験も行うことができました。
JAXAとKHIの試験参加メンバー
実際の風洞試験は、JAXAとKHIのチームが協力して実施しました。この風洞で実施する騒音風洞試験としては最大級の規模であったため、測定部や模型の設置作業に苦労したほか、騒音計測においても試行錯誤を重ねました。
また、両者が協力して対応し、試験を成功裏に完遂しました。本試験を通じて、技術知見の共有と連携強化を図ることができました。
今回得られた貴重なデータや知見を、旅客機機体騒音低減の研究開発の中で活かしていく予定です。
