空力技術の研究
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JAXA最大級のCRM-HL 8%半裁模型を用い、着陸する旅客機の空気の流れを特殊蛍光オイルで見える化
JAXAでは、2025年11月JAXA6.5×5.5m低速風洞(LWT1)において、着陸する旅客機の機体周りの空気の流れを「見える化」する風洞試験を実施しました。
JAXA6.5×5.5m低速風洞に設置したCRM-HL 8%半裁模型
風洞試験に使用した模型は、NASAとBoeingが主導して最新の旅客機形状を詳細に模擬して設計された、離着陸形態の標準モデル(CRM-HL: High-Lift Common Research Model)の8%スケールであり、片翼の長さが約2.4mと人の背丈よりも高く、JAXA最大級の風洞模型です。できるだけ大きな縮尺になるように、飛行機の右側の半分だけを再現した模型(半裁模型)です。2025年4月には旅客機から発生する機体騒音(風切音)の試験を行いました。
この試験では、蛍光顔料とオイルを配合した液体を模型表面に塗布し、ブラックライトで照射することで、着陸する旅客機の機体表面の空気の流れを鮮明に描き出すことに成功しました。これにより、着陸時に機体にどのような空気の力が働いているのかを、より詳しく、より正確に把握することができます。
機体表面の空気の流れを「見える化」(Aの画像)
機体表面の空気の流れを「見える化」(Bの画像)
この成果は、機体性能の向上に役立てるだけではなく、コンピュータによる空気の流れの高精度シミュレーション技術の開発に役立てる計画です。また、この成果の一部をNASA(米国)、Boeing(米国)、DLR(ドイツ)、ONERA(フランス)など、世界の航空研究開発機関が参加する「CRM-HLエコシステム」に、JAXAが持つ風洞試験技術を用いた精度の高いデータを提供することで、旅客機の離着陸時における空力特性の予測精度向上という国際的な課題の解決にも貢献してきます。



