機体騒音低減技術の研究開発(FQUROH+)
トピックス一覧へ
JAXA最大級のCRM-HL 8%半裁模型を用いた機体騒音の初回風洞試験を実施
2025年4月15日から5月27日まで、JAXA6.5m×5.5m低速風洞(LWT1)において、旅客機の機体騒音についての初回の風洞試験を実施しました。

JAXA6.5m×5.5m低速風洞に設置したCRM-HL 8%半裁模型
風洞試験に使用した模型は、NASAとBoeingが主導して最新の旅客機形状を詳細に模擬して設計された、離着陸形態の標準モデル(CRM-HL: High-Lift Common Research Model)の8%スケールであり、片翼の長さが約2.4mと人の背丈よりも高く、JAXA最大級の風洞模型です。
旅客機から発生する機体騒音(風切音)の試験を行うため、できるだけ大きな縮尺になるように、飛行機の右側の半分だけを再現した模型(半裁模型)を新しく製作しました。
-
低い周波数
-
高い周波数
機体騒音(風切音)の音源分布の例
今回の試験では、マイクロホンアレイと呼ばれる計測装置を用いて、旅客機から発生する機体騒音(風切音)の音源分布を明らかにしました。そのほかにも、模型に働く空気力や模型表面の圧力の分布を測定するとともに、模型の周りの空気の流れの様子を調べるために、タフトとよばれる短い糸を模型の表面に貼って、その動きを観察しました。
模型が大きいため、現場実習中の2025年度JAXA新卒採用の4人にも手伝ってもらって、主翼の表面などに頑張ってたくさんの糸を貼りました。

模型表面にタフトを貼り付けている様子
送風中のタフト(流れ)の様子
この模型を使って、JAXAが検討してきた機体騒音を減らすための低騒音化デバイスの効果を調べるとともに、得られた実験結果と比較することで、高精度な空気の流れのコンピュータシミュレーション(CFD)の開発に役立てる計画です。