気象情報技術

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2014年6月23日

成田空港で乱気流情報提供システム「ALWIN」の評価試験を実施

2014年3月3日から5月9日の間、成田空港においてJAXAと気象庁は航空会社JAL、ANAの協力のもと、新しい乱気流情報システム「ALWIN(Airport Low-level Wind INformation)」の評価試験を行いました。
ALWINは、これまでJAXAが開発してきた「低層風擾乱アドバイザリーシステム(LOTAS)」の技術の一部を先行して実用化するために、すでに気象庁により空港に設置されている空港気象ドップラーライダー を使用するシステムです。ALWINは、航空機を空港に安全に着陸させるため、機上のパイロットと空港の運航支援者に対して、航空機の着陸経路上における風の状態(風向・風速、ウィンドシアー、乱気流など)をリアルタイムで提供できます。今回の評価試験では、試作したALWINシステムを用い、空港周辺や着陸経路上の風の情報を、空港にいる運航支援者へはパソコンで、パイロットへは操縦席に設置されているACARSというテキストベースのデータリンク装置で提供しました。

航空機の操縦席計器に表示されたALWINの風情報(画像提供:日本航空株式会社)

今後は、ALWINを使用した運航支援者やパイロットへのアンケート、ミーティングなどにより評価コメントを収集し、より使い勝手の良いシステムに改良していきます。また実際に着陸した航空機の飛行データをご提供いただき、ALWINが予想した風の情報と実際に航空機が受けた風の情報を比較することで、ALWINの有効性を評価していきます。

※空港気象ドップラーライダー:レーザー光によって大気中のエアロゾル(微粒子)の動きを検知することにより、低高度の非降水時の風を計測できる装置で、現在成田空港などに設置されている。