再使用型宇宙往還機に乗って宇宙へ行きたいという思いより、“宇宙へ行きたい!”と望む人々の夢を叶えたい。
材料開発者たち

材料開発者たちの場合

小笠原

青木
自分たちが新規に開発した材料により再使用型宇宙往還機が実現したら、その機体が超高温に耐えつつ熱によって赤く輝きながら飛んでいる姿を、少し離れた場所から見てみたいと思っています。その様な機体の開発に自分が携わり、実現できたことで満足できるのではないかと思います。

吉村
私は、例えば軌道上にある宇宙ホテルに滞在するなどして、宇宙を楽しんでみたいですね。月面に建設された工場に出張に行く、というのも楽しそうです。“宇宙へ行く”と聞くと宇宙往還機のような乗り物を想像しがちですが、エレベータに乗る感覚で高度36,000kmの静止軌道や更に高高度の宇宙まで行くことができる「宇宙エレベータ」が実現したら面白いなと思います。そのためには、地上のエレベータで言うとレールとなる部分を作る材料となるカーボンナノチューブの開発など、様々な課題をクリアーする必要があります。

小笠原
宇宙エレベーターや本誌で紹介している再使用型宇宙往還機、小惑星探査機「はやぶさ」よりも高度な宇宙探査機などは、現在実用化されている材料だけでは実現困難です。そのような困難なミッションを実現するための材料開発という立場からの宇宙への興味が大きいですね。

吉村
私たちがやっている研究は、再使用型宇宙往還機に限らず様々な航空機・宇宙機に使えます。本誌で紹介している極低温CFRPタンクは衛星打ち上げ用のロケット上段や、液体水素を燃料とする航空機の燃料タンクにも使えます。CFRPは高強度かつ高剛性で非常に軽量という特長を有しているため、航空機・宇宙機には欠かせない材料なんです。

小笠原
再使用型宇宙往還機の構造全体を作る材料として開発を行っているCFRPも、超音速で巡航する飛行機や、エンジンの材料としても使える可能性もありますしね。