施設見学

2025年6月5日

「FJR710」と「D-SEND」が航空宇宙技術遺産に認定されました。

日本初の高バイパス比ターボファンエンジン「FJR710」と、民間超音速機実現を見据えた低ソニックブーム設計技術実証プロジェクト「D-SEND」が、「航空宇宙技術遺産」に認定されました。

航空宇宙技術遺産は一般社団法人日本航空宇宙学会が日本の航空宇宙技術発展史を形づくる画期的な製品や技術を顕彰するものです。

FJR710による高バイパス比ターボファンエンジン技術

FJR710による高バイパス比ターボファンエンジン技術

「FJR710」は、1971年に当時の通商産業省工業技術院が主導した大型プロジェクト「航空機用ジェットエンジンの研究開発」の一環として開発された、日本初の高バイパス比ターボファンエンジンです。この技術は、のちの国際共同開発エンジン「RJ500(日英)」や「V2500(日米独伊)」へと引き継がれ、日本の航空エンジン技術および産業の発展に大きく貢献しました。また、FJR710の派生型である「FJR710/600S」は、短距離離着陸(STOL)実験機「飛鳥」に搭載され、約100回にわたる飛行試験が行われました。

なお、FJR710は、機械工学の分野における歴史的意義から、一般社団法人日本機械学会による「機械遺産第7号」にも認定されています。

民間超音速機実現のための低ソニックブーム設計技術実証(D-SEND)

民間超音速機実現のための低ソニックブーム設計技術実証(D-SEND)

JAXAが2010年から2015年にかけて実施した「低ソニックブーム設計技術実証(D-SEND)プロジェクト」では、将来の民間超音速機の実現を見据え、超音速飛行時に発生するソニックブームを低減するための設計技術の実証を行いました。本プロジェクトでは、機体の前方と後方で発生するソニックブームを同時に抑制しながら、安定したトリム飛行を両立させるという、JAXA独自の設計概念に基づいた実証機を開発、その飛行実証に世界で初めて成功しました。プロジェクトで得られた成果は、JAXA独自技術の特許化や、開発ルール・飛行データのデータベース化を通じて、国内の関係機関へ提供されており、日本の航空機産業の技術力向上や、国際共同開発における競争力確保に寄与しています。

展示のご案内

JAXA調布航空宇宙センター展示室では、「FJR710」のカットモデルと、「D-SEND」の飛行実験で使用された実機の一部を常設展示しています。 また、2023年に航空宇宙技術遺産に認定された短距離離着陸(STOL)実験機「飛鳥」の模型や、小型超音速実験機「NEXST-1」も展示しております。皆さまのご来館をお待ちしております。