宇宙航空研究開発機構

本日のアラスカ CAPSTONE@Merrill Field Airport

朝から雨。
今日はディスプレイ評価フライトではなく、機体間の通信実験フライトが予定されていました。
昨日の午後、パイロット1名と研究員1名が新たに参加、日本からの実験隊は8名となりました。

これまでのフライトと異なり、今日のフライトは航空機間での通信機器の通信範囲の計測を行うもの。そのためにJAXAのDREAMS実証機に加え、別にもう1機の航空機をチャータし、2機が同時にフライトします。実験隊メンバもそれぞれ2機に分乗しました。


中央に座っているのが、チャータ機のパイロット(所有者でもあります)のJimさん。朝、実験棟に到着すると、PatrickさんとJimさんとが議論中でした。


(左)Jimさんの飛行機と、(右)JAXA実証機。
Jimさんの飛行機にも、JAXA実証機と同様の機器類が搭載されています。

飛行番号:FLT09
飛行時間:N67933(JAXA実証機) 14:20-16:10、N3411S(チャータ機) 14:15-16:10
飛行空域:Merrill Field Airport-Lake Clark-Kenai-Merrill Field Airport


この実験フライトの目的は、航空機間でのUATデータリンク評価です。UATとはUniversal Access. Transceiver、高速の通信技術のひとつで、主に小型航空機での活用が考えられています。

現在、航空機管制において、ADS-Bと呼ばれる通信方式があります。ADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)とは,航空機が位置や速度などの情報をデータリンクを介して送信し、地上局や他の航空機がその情報を受信するものです。地上の管制官だけでなく航空機のパイロット同士がお互いに情報を共有し合える特長があります。
UATは、このADS-Bへの活用も期待されている通信技術のひとつです。

今日は航空機-航空機(Air to Air)のUATデータリンク評価を行います。
JAXA実証機が、チャータ機の左右上下を一定間隔を保ちつつ飛行したり、円を描くように飛行したりして、さまざまな位置関係でのデータリンクの接続状況を計測します。
地上では、フライト中の2機をコンピュータ画面上で見守っていました。空域を飛行中の航空機の機影が地図上に青い三角形で示され、カーソルを合わせると、位置や高度などの詳細情報が表示されます。

2機の機影が重なっています。
一見ひやりとしますが、詳細データを見ると、JAXA実証機がチャータ機の1100ft下を飛行中であることが分かります。


ちなみに、先日見学に伺った山頂に設置されたGBTも、地上局のひとつです(21日参照)。つまり、CAPSTONE実験でJAXA実証機がフライトし、データリンクによって送信したデータは、あのGBTを含め地上局で受信されていたのです。もちろん今日の分も受信されています。


UATデータリンク評価には電子航法研究所ENRIの機材を使用します。そのため実験隊にはENRIの研究員も参加しています。
PatrickさんもJimさんも、熱心に聞き入っています。

結果が気になるところです。引き続き、明日も今日と同じ実験フライトが予定されています。

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