宇宙航空研究開発機構

FLIRがくっつくまで@SAVERH #6 着陸灯に照らされる

昨日でSAVERH用の装置の搭載は全て完了。今日は機体を外へ出し、エンジンをかけて、機体に何も問題が生じないことを確認する。
とにかく暑い日。その炎天下のもと、まるでサウナのような機内後席で機器の電源を順番に入れていく。積み込んだ装置や機器が正しく動作するかどうかも重要だが、それよりも、元々MuPAL-εに付いている様々な計器に影響が出ないことを確認するのが一番重要である。

旅客機の機内で携帯電話を使用できないのは、携帯電話から発生する電磁波が、航空機の計器に影響を及ぼし、不正確な表示にさせる可能性があるからである。われわれの装置にも同じような危険性があるなら使用はできない。

操縦席に座ったパイロットが、ひとつひとつ計器の指示表示を確認していく。

この確認作業は、問題なく最後まで進んだ。
しかし、最後にきて予想外のことが。

ランディングライト(着陸時に前下方を照らす着陸灯)を下ろすと、その前方にFLIRが。

うーん、これは想定外。座り込む面々。

ランディングライトにしてみれば明るく照らす範囲が、FLIRがあるせいで狭くなってしまわないか。FLIRにしてみれば、真後ろから明るく照らされて機能に問題がないか。
FLIRは航空機用に開発されているから、振動や気温や気圧や湿気には耐えるように設計されているものの、まさか後ろから照らされることになるとは。誰も考えていなかった。

機体をハンガーに戻し、もう一度確認してみる。
こんな感じ。

FLIRの位置は、かろうじてランディングライトの光軸からずれている。ここでひとりが突然、板を洗い出した。

洗ってます。埃まみれなんで。

機体の前方に板を置く。実際にFLIRがどれほどの影を作るかを確かめるのである。
FLIRがあるため、右側の光がやや暗くなっていることが分かる。しかし軸が外れているおかげで、ランディングライトの光全てが遮られるわけではなく、少し影ができてもまだ十分な光量が得られることが分かった。

そしてFLIRも、ランディングライトの光を真後ろから浴びるわけではなく、また、光は飛行中常時は照射されず、着陸進入時のみであることから、問題なしとの結論に落ち着いた。

カレンダー

2008年8月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

アーカイブ