第4期中長期計画で掲げている「変革」「連携」「人材育成」は、いずれも重要なテーマです。私はこの3つに「多様性」を加え取り組んでいきたいと考えています。
En-Coreプロジェクトのように10年後に実現するようなエンジン技術は企業と共同で行い、静粛超音速機のように20年後を目指す研究は大学と一緒に取り組むケースが多いのですが、様々な人とバランスよく連携するためには、固定観念にとらわれない多様性を意識した姿勢が必要だと感じています。
人材育成については、若手研究者には裁量と権限を持たせることで、多様な研究が生まれ、それが成果にも反映されていくと考えています。私自身の経験として、上司に恵まれ責任ある仕事を任されてきました。社内では「迷ったら躊躇せずに行動せよ」と伝えていますが、より積極的な方法を選択する。この姿勢は今後も大切にしていきたいと思います。
今年度を語るにあたり、今回の新型コロナウイルスによる移動制限は、社会に大きな変化をもたらしました。航空輸送業界には大きな影響を与えています。特に現在研究中の静粛超音速機には大きな逆風とも言えます。一方で、今回の出来事は、人やモノの移動に対する価値、つまり(遠くへ行きたいと感じる)移動そのものの価値や(速く目的地に到着したい、させたいという)移動時間の重要性を高めたと言えるのではないでしょうか。超音速機はそれに応えるための研究とも言えます。
計り知れない新型コロナウイルスの影響ですが、決して悲観的にならず、改めて航空輸送や航空機利用に関わる研究開発の在り方を考えるタイミングと捉えています。