さらに新たな外部との繋がりを求める取り組みが、JAXA以外から新たなアイデアや研究テーマを募る『イノベーションチャレンジ』です。テーマを募集するところから始め、良いアイデアは航空技術部門の設備や研究員も使い一緒に進めましょうという取り組みです。
今年度3回目を迎える募集ですが、初回から手ごたえのあるテーマが発掘されています。昨年まで継続していた1回目のテーマでも、複合材の修理技術やSOFC(固体酸化型燃料電池)の基礎技術など興味深い研究が取り上げられました。まだまだ基礎段階ではありますが、将来SOFCを電動飛行機に採用される技術に成長するかもしれません。
3回目となる今年も、電動航空機や無人機に関するテーマが採択されており、思った以上の成果が出ているのは嬉しい驚き。今後もイノベーションチャレンジを活用し、新たな研究テーマと協力先と探索していきたいと考えています。
また、現在進んでいる研究の一つに「災害・危機管理対応統合運用システム(D-NET3)」があります。災害時における救援航空機の運航管理システムで、救援ヘリコプターやドローン、ドクターヘリなどが、効率的にそして安全に救援活動を行うための技術です。
このシステムを進化させれば、災害対策本部の中に発生しがちなスタッフ間の密状態を避けられるのではないかという声が上がり、具体化し始めています。今秋には新システムとしての実用化も検討しており、新型コロナウイルス対策の一助になればと考えています。
このようにイノベーションハブでは、斬新な発想から、近い将来における具体的な技術、アイデアを即具現化していく小回りの利く研究まで、多様なテーマが進められています。
それらの実現に向けて、今の技術をどう向上させていくのか、技術のロードマップも念頭に置き、さらに成果につなげていく活動を、今年度引き続き進めます。