空から宙へ、物づくりから街づくりへ(前編)

2022年3月25日
飯島朋子

「1992年9月12日、毛利衛宇宙飛行士が日本人としてはじめて宇宙に飛び立った日です。そんな宇宙の日に、夢カフェでも「宇宙」に想いを馳せてみようと気象予報士で、かつ宇宙航空研究会開発機構の、飯島朋子さんをゲストにお迎えしてお話を伺います。」
パチパチパチパチ~。

というわけで「大きな教室よりカフェで勉強する方が、思いが伝わりそう!」をコンセプトとした夢カフェ(1)の中島先生のご招待を受け、私(飯島朋子)はZoomの前で緊張も入り混じりながらトークをスタートさせた。
中島先生は、気象神社(2)のある高円寺の教室で、気象予報士を目指す方の家庭教師などを務めながら朝の連続テレビ小説「お帰りモネ(3)」の助監督までされていた多才な方だ。

「気象庁と共同開発された、空港低層風情報(ALWIN)(4)ってどんなシステムなんですか?」

図1 空港低層風情報(ALWIN)(4)


「電気飛行機でエネルギ回生を実証した(5)って、エネルギ回生って何ですか(6)?」

図2 JAXA電気飛行機(2015年に飛行実証)
エネルギ回生するのが特徴


「そもそも、何故JAXAに入ったのですか?」
「海外スタッフと仕事することもあるのですか?」
「今は空飛ぶクルマの運航の研究をされているのですか?これからは空飛ぶクルマの時代になるんですね。楽しみですね~。」
と空の研究のお話で盛り上がった。

図3 空飛ぶクルマのユースケースイメージ~離島~
©JAXA

図4 夢カフェでのトークイベントの様子


そうかと思えば、
「はやぶさ2のカプセル回収に関わられていたのですね。どんな仕事をされたのですか?」
「なんか、オーストラリアでのミッション中に素敵な短歌も降臨されたとか?是非ご紹介下さい。」と、昨年のはやぶさ2のカプセル回収の体験e.g.(7)〜(9)を熱く語らせて頂いた。

図5 はやぶさ2 カプセル回収チーム 光学軌道決定班が拠点とした
クーバーペディの砂漠の風景・軌道決定に利用したカメラ・降臨した短歌


~夜半に月が地平線から昇ると、月の女神アルテミスのごとく、その輝きで夜の世界を支配していた~

トークイベントの前、どこで盛り上がってもいいので何の話から始めましょうか?

気象に関与する仕事の話が良いか、空飛ぶクルマの話が良いか、今日は宇宙の日だから、はやぶさ2の話が良いかなんて話しをしていた。

JAXAは宇宙が有名だから、是非、航空の研究をアピールしたいなんて話をしていたけれど、何の心配もいらなかった。
話題が盛り上がった方向で良いし、自身の琴線が震えた体験でなければ、聴衆には伝わらないのだから。自然体で良かったのだ。


「パイロットの資格もお持ちなのでしょうか?」
「はい、空が好きすぎて、空を飛んでしまいました。」

図6 空が好き過ぎて

「皆さん、空の素晴らしさを、気象の勉強をするだけではなく、飛びながら感じてみませんか?気象とパイロットの2つの視点で、多角的にアプローチしてはいかがでしょうか?」
と、Zoomの向こうの方々に呼びかけてみた。

すると、自分の発したメッセージは私自身の心の中にも届いたようだ。
まるで、ヴァイオリンの弓が、あたかも私自身の心の弦を色彩豊かに響かせたかのように。
夢カフェのトークイベントの最中、トークと自身の精神世界のかけ橋ができ、いつの間にか、その世界を自由に飛び回る旅人となっていた。


  1. 気象予報士受験のかてきょ夢☆カフェ
  2. 気象神社
  3. おかえりモネ
  4. 羽田空港及び成田空港における「空港低層風情報(ALWIN)」の実運用開始について
  5. 西沢啓、小林宙他、航空機用電動推進システム技術の飛行実証、JAXA-RM-16-006
  6. 飯島朋子、飛びながら、風力発電!? ハイブリッドカーの技術を飛行機に
  7. 飯島朋子、Episode1あの日
  8. 飯島朋子、Episode2あの日
  9. 飯島朋子、Episode3あの日
  10. 航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム

つづく