宇宙航空研究開発機構

MuPAL-ε シュードライト実験 その2@大樹

大樹12:00-大樹13:15 (1+15)
大樹15:00-大樹16:00 (1+00)


2フライトの実験を行いました。10月27日と同様に、ホバリングを主体としたフライトですが、今回は本格的な実験として、建物の上空でホバリングする実験を行いました。

建物の多い都市部では、GPS等の測位衛星から送信された電波が、建物に反射して受信アンテナに届きます。衛星から直接受信した電波と反射した電波を混ぜて受信すると、算出された位置に誤差が生じます。これをマルチパス(多重伝搬)誤差と言います。補正の難しいやっかいな誤差なのですが、送信する信号の方式を工夫すると誤差を小さくすることができます。
※詳細はこちら 航空本部「DREAMSプロジェクトチーム」 高精度衛星航法技術
今回は、こうした新しい方式の信号のデータを取りました。大樹町多目的航空公園には、成層圏プラットフォーム定点滞空飛行試験機で使用した大きな飛行船格納庫があります(写真右側)。飛行実験ではMuPAL-εを管制棟(写真左側)の約600m上空でホバリングさせてシュードライト(擬似衛星)の電波を送信し、受信機を載せた自動車を飛行船格納庫の周囲で移動させて、受信データを記録します。格納庫から離れた場所には固定した基準局も設置して、比較用のデータも取りました。

実験時の地上班の配置を、離陸するヘリコプタから一望しました。


ホバリング点に入る前に上空から見た様子。
ホバリング中は真下になるので、地上の実験隊は見えません。


飛行中は、無線で地上と連絡を取りながら、実験を進めていきます。実験中に発生する複雑な事柄を無線で伝えるのはなかなか難しいですが、そこは日頃のコミュニケーションを生かして、こなしていきます。
ところで、十勝の広大な大地が広がる大樹町ですが、航空公園の隣は牧場になっていて、乳牛たちが草を食んでいます。ヘリコプタが長時間ホバリングする騒音で、乳の出が悪くなるようなことがあると大変です。地元の方に確認をお願いしていましたが、ホバリングの高度を高くしたこともあって、十分小さい音だったとのことでした。実験を円滑に行うためには、地元の方とのコミュニケーションも大切です。



フライトの合間に燃料補給。
実験場へはドラム缶で配達してもらいます。

長期に渡った北海道での実験は、本日で終了しました。MuPAL-εは調布飛行場への帰り支度を始めます。

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