宇宙航空研究開発機構

クイーンエア GPS/INS/MSAS飛行実験@八丈島

今月は他の3機が定期検査や改造工事で整備工場に入っているので、クイーンエアが1機で頑張っています。今週は八丈島にやってきました。

1回目の実験フライトを終えて、燃料を補給中。八丈島には航空ガソリンを使う機体があまり来ないらしく、ドラム缶から給油です。

今回の実験の目的は、GPSと慣性航法を組み合わせたGPS/INS複合航法を改良するためのデータ取得です。JAXA航空プログラムグループでは、高精度航法システムの研究を行っていて、その中で航空機の位置データの信頼性を向上させる研究を行っています。クイーンエアにはJAXAが開発したGPS補強型慣性航法装置(GAIA)が搭載されており、このデータを記録して、新しい航法ソフトウェアの開発に使おうというわけです。
このソフトウェアでは、GPSの補強データとして、昨年9月から実用化されたMSAS(運輸多目的衛星用航法補強システム)のデータも使うことにしています。ソフトウェアの開発では、データが通常と違う状態でもきちんと動くことが重要です。MSASのデータは地上局のデータから作られていますが、八丈島はMSASの地上局から比較的離れた場所にあります。通常と違うMSASのデータをたくさん取ることをねらって、八丈島で実験をすることにしました。
さらにMicro-GAIA(マイクロガイア)の評価も行います。2007年5月に実験したものと同じ装置ですが、プログラムを少し改良しました(2007年5月29日実験用航空機レポート「MuPAL-α Micro-GAIA飛行評価」参照)。


機内に入るとこんなものが。洋上飛行をするので万一に備えて救命ボートを載せています。

2回目の実験飛行を始めます。飛行パターンは、直線飛行と旋回飛行を繰り返し行うものです。まずは、南に向かって一直線に飛行します。


青ヶ島が見えてきました。以前、MuPAL-εで風の計測をした島です。

次は旋回飛行です。旋回のために機体が傾くと、高さ(仰角)の低いGPS衛星が受信できなくなります。今回はそうした状態をわざと作って、データを記録します。


旋回中。水平線が30度傾いています。

データの記録も順調に進み、実験は終了しました。クイーンエアは空港に戻ります。八丈島空港は、2つの山の間の平地にあります。山で風が乱れるため、滑走路の途中で風向きや風速が変わることがあり、着陸には気をつかう空港です。


2つの山の間に向かって降りていきます。


今晩は屋外係留となります。カバーとロープでしっかり身支度。

カレンダー

2008年2月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29  

アーカイブ