宇宙航空研究開発機構

ボナンザ、気象情報配信システム機能確認@桶川

今日から2日間は、ボナンザの出番です。
先月、研究所に戻ってからボナンザは、調布飛行場でフライトをくりかえしていましたが、今日と明日は場所を埼玉県に移して、フライトを行います。


荒川沿いにある本田航空さんに、これから2日間お世話になります。

本田航空(http://www.honda-air.co.jp/)のホンダエアポートは、埼玉県比企郡の荒川沿いにあります。正確な住所は桶川市ではありませんが、研究所で「桶川」と言うときは、ここホンダエアポートのことを指しています。

研究員のうち3名は先遣隊として昨夜のうちに、残りの研究員もお昼過ぎに現地入りしました。ボナンザは10:55に調布を離陸、途中、試験を行いながら飛行し、11:35にホンダエアポートに着陸しました。午後からはさっそく1回目のフライトが予定されています。


パイロット2名と整備士1名はボナンザに乗って桶川入り。
本田航空の一室をお借りしてブリーフィングです。

今日と明日のフライトでは、時分割データリンクを使った地上との通信の確認と、気象情報配信システムとその表示の機能確認、それから、トンネル型経路表示の確認を行います。


時分割データリンクでの通信状況を示すモニタ。

1回目のフライトではまず、気象情報配信システムの確認をします。
気象情報配信システムとは、同じようなシステムがアラスカのCAPSTONEで既に使われていましたが、地上から飛行中の航空機に向けて気象情報を配信するシステムです。機体に気象レーダが付いていなくても、パイロットは気象の状況を知ることができます。特に、JAXAのシステムでは、三次元の乱気流情報を配信できることが特長です。

縦長の画面が、コクピットでパイロットが見ることになる気象情報の画面です。

フライト前、実際のフライトを想定して(自分がパイロットになったつもりで)、画面表示の最終確認をしていきます。
午後、ボナンザではフライトに向けた機内の準備を、地上班はエプロン(駐機場)のそばに実験機材を広げて、それぞれ実験に備えました。


エプロン脇に立てられたアンテナたち。時分割データリンク用(左)とVHF用(右)のアンテナです。


14:55、ボナンザは離陸していきました。

地上班は、ボナンザからの無線を聞きながら、合図にあわせてデータを機体へ向けて送信します。そして地上から送ったデータが無事、ボナンザに届いたという無線連絡が入るのを待ちます。送受信にかかった時間や、データの内容もそのたびに記録していきます。


ボナンザとの通信状況を見守る地上班。

ボナンザのコクピットには、真ん中にEFB(Electronic Flight Bag)が付いています。アラスカの頃にはなかったものです。これまでは紙だったチャートやマニュアルなどを電子化し、このEFBに表示することができます。
今回の気象情報配信システムは、地上から送られた情報を、このEFBに画像表示します。


コクピット中央にあるEFB。いま表示されているのが、気象情報です。



この日、午後から次第に気温が下がりはじめ、地上員は寒さでふるえながらボナンザのフライトを見守りました。

15:30頃の地上班。みんな背筋が丸まっています。防寒着モードの地上員も2名...。


確認フライトを終えてボナンザが着陸したのは15:55。
予定のケースを終えて、ボナンザが帰ってきました。

ふたたび全員が集合してデブリーフィングです。
地上では問題なく使えると思っていた機器やプログラムでも、実際にフライトして初めて分かる問題があります。今日のフライトでは、風向・風速や高度の情報は正確にやりとりできた一方で、地上との通信がときどき不安定になったり、パイロット用ディスプレイに表示した内容の一部が読み取りづらかったりしたことが報告されました。


ホワイトボードに書き出された、試験結果や課題点。
課題はできるだけ明日までに解決して、明日のフライトで確認します。

明日も引き続き、午前中からフライトを行います。


ちなみに、ここホンダエアポートの管制塔(正確にはアドバイザリ)は、トレーラの上に載っています。これは、荒川の水があふれたときに避難できるようになっているのだそうです。管制塔だけでなく、照明灯などもすべて移動式になっています。川沿いに建つ飛行場ならではで、おもしろいですね。


トレーラハウスの管制塔。

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