宇宙航空研究開発機構

エンルートトンネル&地形表示@MuPAL-ε 1日目

2007年度最後のフライトは、MuPAL-εによる飛行実験です。


離陸前、チェックリスト実施中のパイロット(左)、
実験準備に忙しい後席(右)。

今回のフライトの目的は、パイロット用ディスプレイ表示の評価です。


城山湖(しろやまこ)上空。 フライトする飛行経路は、パイロットと研究員とであらかじめ打ち合わせてあります。 その経路を確かめながら飛んでいきます。

JAXAでは、パイロットが飛行機やヘリコプタを操縦するとき、操縦の助けとなるようなディスプレイ表示の研究を進めています。NOCTARNやホバリングディスプレイなどがそうです。
NOCTARNでは、経路(航空機がこのさき飛んでいく空の道)を立体的に表示する、三次元トンネル型経路表示Tunnel-in-the-sky を使っていました。ここでのトンネル型経路表示は、主として、航空機が飛行場へ近づいて着陸するときにパイロットにとって役に立つことを目的としていました。
そのトンネル型経路表示を、着陸のときだけではなく、ある地点からある地点まで、比較的長い距離を飛ぶときにも使えないかどうかを調べるのが、フライトの目的のひとつです。


トンネル型経路表示にそって飛行中。


もうひとつの目的は、地形表示の評価です。ディスプレイには、トンネル型経に加えて、二次元の地形(地図)と、三次元の地形も表示されます。この2種類の地形表示が、パイロットにとって役に立つものかどうか調べるのが、ふたつめの目的でした。
パイロットが見ているディスプレイ表示は、このようなものです。

2006年のアラスカCAPSTONE飛行実験でも、ディスプレイには三次元の地形が表示されていました。
CAPSTONE飛行実験では、この三次元地形表示の色が変わらないことが、パイロットには不評でした。たとえば、機体が山に近づいたとき、パイロットに危険を知らせるために、ディスプレイのなかの山が赤色に変わってくれれば分かりやすい、というコメントが出ていたのです。それを受けて、今回は、機体と山などの間の距離に応じて、表示する色が変わるようにしました。
近くに山などが何もないときは、緑色ですが、

山肌が近づくにつれて赤色へと変わっていきます。

色が変化する地形表示を評価するため、今日のフライトでは、山間の渓谷を実験場所にしました。選んだのは静岡県の竜爪山(りゅうそうざん)です。フライトするのは初めての場所でしたが、両側に山肌の迫る、なかなかに緊張する谷間でした。

機体の下を送電線が横切ったり、



山肌がすぐそばまで来たり(手を伸ばせば届きそう)、



真正面に山頂が迫ったり。


パイロットのコメントを聞き取りながら、約2時間のフライトを終えて、MuPAL-εは調布飛行場へ戻ってきました。

気観測のためフライトしていたクイーンエアも帰ってきました。



2機ならんで燃料補給です。


MuPAL-εは明日もフライトを行う予定です。でも天気予報では、明日は雨。フライトをするかしないかの判断は、明日の朝まで持ち越されることになりました。

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