宇宙航空研究開発機構

MuPAL-ε ドクターヘリ飛行実験

9月8日のレポートでご紹介した「ドクターヘリの運航・医療情報共有技術の研究開発」の飛行実験です。

今回の実験の目的は、これまで何度かご紹介してきたD-NET(災害救援航空機情報共有ネットワーク)用に開発してきた機上ディスプレイや地上の運航管理システムを、ドクターヘリの運航に活用するためにどのような機能を追加すれば良いかを明らかにすることです。

ドクターヘリの各運用フェーズ、例えば、出動要請を受けて離陸してから災害現場に到着するまで、現場での初期治療、現場から搬送先の病院までの飛行、などにおいて、パイロットや運航管理者がどのような情報を必要としているのかを調べて、それらの情報を表示する機能を試作しました。

研究の内容と実験の様子をビデオにまとめたのでご覧ください。


今回の実験によって、ドクターヘリの各運用フェーズで必要となる情報を的確に提供できることが確認でき、ドクターヘリの運航・医療情報共有システムの基本コンセプトを確立することができました。


メイキングストーリー


JAXAでは、毎年いくつかの試験や実験を選んで、記録のための撮影をプロのカメラマンにお願いしています。今回のビデオの映像も、大部分がプロのカメラマンによって撮影されたものです。


岐阜大学附属病院の屋上へリポートでの撮影の様子です。
このような至近距離にいると、相当強いメインロータの吹き降ろしの風を受けるのですが、プロのカメラマンはめげません。



救急治療室で、実験用のシステムを設置しているところです。
ちょうど実験が終わる頃に、実際に患者さんが運び込まれてくることになったため、実験中にちらかした椅子を看護師さんが片付けているところがビデオのラストシーンになっています。



救急車内から携帯端末を使って患者情報を送信するシーンです。(患者役は病院の関係者の方で、本物の患者さんではありません。)


今回の実験に参加していただいたのは、みなさん本職の救急医や救急隊員の方々なので、実験とは言え、実際の救急現場さながらの緊迫感がありました。



日本航空医療学会での出展とアンケート調査


今回試作したシステムを、「日本航空医療学会」に出展しました。会場では、パイロット用や運航管理者用のディスプレイをパソコンでデモしたり、上記のビデオを上映したりました。本システムに対するアンケート調査も行ったので、結果の一部をご紹介します。
出展の様子です。
所属機関の内訳 アンケートの有効回答数は43件でした。 ご回答いただいた方の所属機関の内訳です。
ドクターヘリの導入状況 ドクターヘリの導入状況についての回答です。3分の1の方が既にドクターヘリを運用している機関の方でした。ドクターヘリは今後ますます発展する分野なので、導入を検討しているという回答も多数ありました。
本システムの有効性について 本システムの有効性についての回答です。「非常に有効」、「まあまあ有効」、「あまり有効でない」、「有効でない」という4段階での評価結果です。 前回の調査結果では、「非常に有効」という回答は2割程度でした(このアンケート結果はビデオの中でも紹介しています)。ディスプレイの実物や実験のビデオを見ていただくことによって、「非常に有効」と評価していただける方が増えました。
導入費用について このようなシステムを導入する際に妥当と思われる費用についての回答です。1億円以上から1千万円以下までの5段階で回答していただきましたが、結果はほぼ均等にばらついていました。 このシステムを実用化した場合の費用はまだ決まっていませんが、もっと安い費用を期待される方が多いと予想していたので、少し安心しました。
今回の出展で、関係機関の方々から高い評価をいただいたこともあり、平成23年度頃の実用化を目指して本システムの開発を進めていきたいと考えています。アンケートでは、上記の内容以外にも、どのような情報を共有化するべきかなど、有益なご意見を多数いただきました。今後の研究開発に反映していく予定です。

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