JAXAの実験用航空機は研究目的だけでなく、様々な用途に使用されています。そのような用途の一つとして、種子島宇宙センターから打上げられるH-IIAロケットの打上げ支援の可能性を調べるための実証飛行を行いました。
この目的は、打上げ前の上空にある氷結層を含む雲の状態を観測し、その情報を打上げに活用しようというもので、今回、H-IIAの打上げ時期ではありませんでしたが、実験用航空機により、どの程度の高度まで観測が可能かの実証を行うとともに、実際に雲の観測を行いました。
2007年3月12日にビーチクラフト式65型(JA5111)クイーンエアが調布飛行場を出発し、途中高知空港で給油をして新種子島空港へ向かいました。
高知空港へ向かう途中、右手に富士山が見えました。この時の高度は約3,000m。
夕方には1年前に新しく開港された新種子島空港に着陸。
クイーンエアもパイロットも新種子島空港は初めての体験でした。
3月13日午後、種子島宇宙センター上空での雲観測実証飛行が行われました。
当日の天候は晴れのち曇。気象レーダーによると3層の雲が種子島上空を覆っていました。
種子島を見ながらクイーンエアはどんどん上昇しました。
製造から約45年も経っているクイーンエア。
流石に高度7,000m(外気温度-23℃)ではかなりキツそうで、これ以上の上昇は無理なようです。
気象レーダーで確認した3層目の雲の上に出ました。
超快晴です!
種子島上空の雲観測とクイーンエアの性能評価を良好に終え、新種子島空港へ向けて降下を開始。
夕方には新種子島空港に戻りました。
新種子島空港に戻る途中、種子島宇宙センタが見えました。
今回の実証飛行の結果、冬期の環境では打上げ支援要求の外気温度-20℃以上まで上昇できることが確認できましたので、実際の打上げ時の観測任務での活用を検討することとしました。なお、夏期になるとエンジン性能が低下するために外気温度-20℃まで上昇することは難しいと思われますが、これについても今後詳細な評価を行うこととしています。
3月14日、クイーンエアは往路と反対の経路で高知空港で給油をして調布飛行場に戻りました。
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