宇宙航空研究開発機構

MuPAL-ε 露点温度センサ精度検証試験@筑波気象観測タワー

今回のMuPAL-εは、実験用に搭載されている露点温度センサの精度を検証する試験です。露点温度とは、空気中の水分が凝結し始める温度のことで、大気温度と露点温度を測ることによって湿度を求めることができます。

MuPAL-εの胴体の下に取り付けられた露点温度センサ。

この露点温度センサは、大気観測を行う飛行機用に開発されたものですが、ヘリコプタに搭載するのは世界で初めてになります。ヘリコプタに搭載することによって、ヒートアイランド観測試験(2006年8月7日実験用航空機レポート参照)のように、飛行機では飛べないような場所の大気データを計測することが可能になりました。

ただし、これまで、実際の飛行中の計測精度を検証することができませんでした。それは、露点温度は高度によって異なるため、例えば機体で飛行中に測ったデータを地上で測ったデータと比べても意味がないためです。今回は、筑波にある気象研究所の気象観測タワーをお借りして、ヘリコプタが飛行する高度と同じ高度にセンサを設置して精度検証用データを取得することができました。


上空から見た気象観測タワー(写真中央の赤白のタワー)。高さは約200mあります。
筑波には、JAXAの宇宙センターもあります。今年の4月からH-IIロケットの実物が屋外に展示されています。写真の矢印の場所に写っていますが分かりますか?


こちらは気象タワーに取り付けられた露点温度センサです。お皿をたくさん重ねたよう形をしています。


下を見下ろすと... 写真を見るだけでも足がすくみそうです。

左:タワーから見たMuPAL-ε、右:MuPAL-εから見たタワー。ほぼ同じ高さを飛んでいることが分かります。通常は、このように建築物の近くを飛行することはできません。今回は、事前に許可をいただき、安全に十分に配慮して飛行しています。

飛行速度を変えて合計7回タワーの近くを飛行しました。飛行速度が異なると、機体の周りの流れやメインロータのダウンウォッシュの影響が変化するためです。特にダウンウォッシュについては、このセンサをヘリコプタに搭載するのが初めてなので、その影響を確かめた例がありませんでした。今回の試験結果から、ヘリコプタでも、飛行条件にかかわらず露点温度を1度程度の精度で計測できることが確認できました。

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