宇宙航空研究開発機構

LIFLEX第1回懸吊飛行試験@北海道大樹町 --実験8日目:地上班ミッション--

無事、台風も通り過ぎました。今日は、もともとは3日に予定されていた2回のフライトを行ないます。

ヘリコプタもハンガーから出てきました。


フライト開始前、ちょっとしたハプニングが発生。ハンガーの大扉(シャッター)が降りなくなってしまいました。このままでは、ヘリコプタが離着陸するときの強い風がハンガーのなかに吹き込んでしまいます。四苦八苦した末にようやく解決、シャッターが閉まるのを待って離陸です。


今期の懸吊試験の主な目的は、実験機をヘリコプタで吊るして実際に飛行させることですが、それだけではありません。フライト中、地上班には別のミッションがあります。上空の実験機との通信電波の確認と"スカイ・スクリーン・ウォッチャ"です。

実験機はフライト中、自分に積まれたMicro-GAIAやその他のセンサから、自分の位置や姿勢などの情報を得ています。実験機自身が切り離しを判断するときにも、この情報を使います。これらの情報は、実験機内部の電圧などの状態と一緒に、上空の実験機と地上とで通信が行なわれ、地上でも実験機の状態を監視することができます。その通信が問題なくできるかどうか、電波リンクの状態を調べることが地上班のミッションのひとつです。

電波リンク確認ミッションのため、屋上には赤いテントが建ちました。



屋上とベランダとでそれぞれ実験機を追いかけます。


管制棟3階の室内では、"スカイ・スクリーン・ウォッチャ"、スカイ・スクリーンの設定が行なわれていました。
地上班の重要な任務として、実験機が予定通りの経路を飛んでいるかどうかの監視、があります。実験機が滑走路に着陸してくれることが一番の希望ですが、もしも経路がそれてしまったときは、安全のため、非常操作がとられます。実験機が計算通りに飛んでいるかどうかは、先に書いたように、実験機から送られてくるデータで知ることができますが、それだけでは実験機の機器が故障したり通信がうまくできなくなったりした場合は大変です。そこで、それとは別に、地上からも人が目で見て監視できるようにと考え出されたのが「スカイ・スクリーン」です。
あらかじめ、実験機が予定通りの経路を飛んだときの、窓から見た軌跡を、窓に印として残しておきます。次からは、機影(機体の姿)が窓につけた印と一致しているかどうかを監視していれば良いのです。

まず、計算で求めた値をもとに、「多分このあたりかな」と思われる位置に糸を貼っておきます。

次に、スカイ・スクリーン設定で最も重要な役、ウォッチャさんの登場です。スカイ・スクリーンを設定するとき、大切なのが目線を固定することです。せっかく窓に目印を付けておいても、立った人が見るのと座った人が見るのとでは、見え方が全く違ってしまいます。そこで、いつ見ても視点が同じになるように、カメラの三脚を位置を固定させて置き、あごをその三脚に載せて観察することになりました。

いよいよヘリコプタと実験機が近付いてきました。ウォッチャさんの指示に従い、目印を貼り直していきます。

疲れそうな体勢です。






進入2回目。見事、貼り直した目印の上に機影が来ました。成功です。



ウォッチャさん大量増員中。



上空から見た多目的公園全景。滑走路は長さが1000mあります。



晩成温泉。


管制棟やその屋上で各自作業にあたっているメンバーも、ヘリコプタが帰ってくるとなると急遽"引っぱり班"に早変わり、ヘルメットを持ってハンガー前へ駆けつけ、懸吊装置と実験機を受け止めます。地上班は大忙しなのです。

今日の試験作業はフライトを含めて11:30-13:30、15:30-17:30と長時間に及びました。その甲斐あって、フライトでは多くの実験項目を行ない、たくさんのデータを得ることができました。今夜から明日の午前中までデータを解析し、もう一度試験が必要な項目がないかどうかを調べて、それによって明日の午後のフライト内容を決めることになりました。

カレンダー

2007年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

アーカイブ