宇宙航空研究開発機構

無人機・有人機連携技術の研究 予備実験@調布-三浦

今年度から始まった新しい研究をご紹介します。
地震等の大規模災害が発生した場合、ヘリコプタは救助・物資輸送・情報収集等の目的で被災地周辺を飛行します。
近い将来、情報収集等については、無人機も活用されるようになります。

MuPAL-εが久しぶりの実験飛行に出発です。
気温は34度。この機体は飛行規程により36度までしか運用できないので、夏場は気温が気になります。格納庫を出てから飛行場に到着するまでの間だけでも機内の温度は相当高くなるので、実験用の機器への影響も心配です。でも、この機体はクーラーが良く効くので、エンジンをかければ機内はすぐに快適な温度になります。ずっと外にいる整備士の方は大変ですが...。


三浦半島上空で仮想的に無人機の飛行空域や飛行情報をパイロット用ディスプレイに表示して実験を行いました。青や赤で示されているのは、実際の空港や基地の管制圏です。

今回の飛行には、4月に新しくJAXA職員になったS君も搭乗しました。飛行実験に参加するのはもちろん、ヘリコプタに乗るのも生まれて初めてというS君。その感想を聴いてみましょう。


初搭乗に緊張するS君。


はじめまして。今回、飛行実験に初めて参加し、驚きや勉強の連続でした。
ドアの開け閉めから始まり、ヘッドセットを使った機内での会話、飛行中は研究者もできるだけ外を見張って他機を見付けたら報告すること、など、旅客機に乗るのとは随分勝手が違います。


航空機のドアの開け閉めを初めて体験しました。もしきちんと閉まっていなくて上空で開いてしまったら大変です...
実際には、離陸前に整備士の方が確認してくれるので心配いりませんでした。


実際に飛行が始まると、まず初めに驚いたのは、機体がほとんど揺れずに静かに離陸したことでした。ヘリコプタはもっと揺れると想像していたので、意外でした。さすがJAXAのパイロット、と感心しました。

機内での会話は、研究者同士で話すときでも全てヘッドセットを通して行います。初めのうちは自分が話しかけられているのが分かりませんでした。また、パイロットは同じヘッドセットを使って管制官とも交信するので、この邪魔をしないようにと予め注意を受けていました。話しても良いタイミングがなかなか分からず、つい無口になってしまいました。

今回の私の任務は、ディスプレイの表示内容等について、パイロットのコメントや指摘事項のメモをとることでした。ずっと下を向いて字を書いていたので、少し気持ち悪くなりましたが、とりあえず最初の実験飛行を無事に終えることができ、ほっとしています。

私は、衝突防止技術の研究を担当しています。
現在、旅客機にはTCASと呼ばれる衝突防止システムが搭載されています。ヘリコプタにはより安価なTASと呼ばれるシステムが搭載されます。ただ、災害時や、普段でも取材・報道等の目的で飛ぶ場合には、多数の機体が非常に接近した状態になるため、これら既存の衝突防止システムでは常に他機との衝突の可能性が表示されてしまい、あまり実用的とは言えません。現実には、このような状況でもパイロットが目視によって安全を確保しながら飛んでいます。私の研究の目的は、このような状況でも有効に使える衝突防止システムを実現することです。
今回の飛行実験は無人機を想定したものですが、有人機同士の衝突防止に関する私の研究の飛行実験を早く実施できるよう、これからも頑張りたいと思います。

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