高空性能試験設備

高空性能試験設備は、上空を飛行中の状態を地上の設備で作り出し、その中でエンジン等の運転試験を行うための設備です。
本試験設備の全体図を図1に、系統図を図2に示します。
設備は吸気部、試験部、排気部の3つの領域から構成されています。

  1. 吸気部(吸気消音器~圧力制御弁)
    大気から空気を取り込み、試験条件に応じて電気ヒーターで加熱、圧力制御弁により試験室に送り込む空気の圧力を変化させます。
  2. 試験部(低圧試験室)
    低圧試験室内を地上大気条件、もしくは高空条件(減圧条件)にし、エンジンを運転することによりエンジン及び試験デバイス等の性能特性を取得します。
  3. 排気部(排気冷却器~排気消音器)
    エンジンから排出された高温の排気ガスを排気冷却器により冷却及び洗浄し、低圧排気装置で昇圧した上大気に放出されます。また、低圧排気装置で空気を吸い出すことにより低圧試験室内を減圧し、その圧力は圧力制御弁により調整されます。
図1 : 高空性能試験設備全体図

図1 : 高空性能試験設備全体図

図2 : 高空性能試験設備系統図

図2 : 高空性能試験設備系統図

試験形態

本試験設備では主に、ダイレクトコネクト形態とセミフリージェット形態の2通りで試験が行われます。

  1. ダイレクトコネクト形態
    図3にダイレクトコネクト形態を示します。この形態ではエンジン単体での性能を試験します。設備側より供給される空気の状態は、エンジン入口での状態と等しく、亜音速流となります。
    図3:ダイレクトコネクト形態

    図3:ダイレクトコネクト形態


  2. セミフリージェット形態
    図4にセミフリージェット形態を示します。この形態ではインテークも使用し、エンジンとまとめて1つの推進系として統合試験を行います。設備側より供給される空気の状態はインテーク入口での状態と等しく、超音速流となります。
    図4:セミフリージェット形態

    図4:セミフリージェット形態