回転要素試験設備
ジェットエンジンを構成するファンおよび圧縮機の性能は、ジェットエンジンの理論サイクルであるブレイトンサイクルの熱効率の決定に支配的な影響力を持ちます。
回転要素試験設備は、これらファンおよび圧縮機を要素単位で試験する回転リグ試験設備です。
本設備を用いた機能確認試験、空力性能試験、作動安定試験等により、ファンおよび圧縮機をジェットエンジンに組み込むために必要な性能評価や技術実証を行います。
本設備は、1970 年代に日本で初めて開発された航空機用ターボファンエンジン(FJR710 エンジン)の要素開発に用いられた圧縮機試験設備を改修整備したもので、大流量低圧の単段ファンのリグ試験等に用いる2.2MW 系駆動装置および多段の高圧圧縮機のリグ試験等に用いる8MW系駆動装置で構成されます。
近年、JAXA では「aFJRプロジェクト」等において、騒音や窒素酸化物(NOx)とともに、地球温暖化に影響があるとされる二酸化炭素(CO2)排出削減のための研究開発に取り組み、社会的要請に応えてきました。
これまでの民間用大型ジェットエンジンの主流であるターボファンエンジンの超高バイパス比化の傾向は、今後小型エンジンにも及ぶと考えられます。本設備は、そのための小型高性能の高圧圧縮機「スモールコア」の技術開発においても、研究プロジェクトや外部への設備供用等を通じて貢献することが期待されます。
高圧系 | 低圧系 | ||
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供試体 | 多段圧縮機 | 単段圧縮機 | |
試験室 |
減圧室内
W5000×D7000 |
基礎レール部
W3990×D6340 |
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駆動用電動機 | 定格出力 | 8000 kW | 2200 kW |
駆動用増速機 | 可変速範囲 | 150-1500 rpm | 150-1485 rpm |
受電設備 | 出力軸最大回転数 | 21500 rpm | 14613 rpm |
吸排気装置 | インバータ定格 | 8800 kVA | 3000 kVA |
最大流量 | 22 kg/sec. | 33.6 kg/sec. | |
排気圧力 | 1500 kPa 以下 | 160 kPa 以下 | |
排気温度 | 750 K 以下 | 368 K 以下 | |
排気流量制御 |
排気制御弁
緊急放風弁 |
排気制御弁
緊急放風弁 |
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設備潤滑装置 | 潤滑油 | ISO-VG-46 | |
オイルタンク | 5000L | ||
危急タンク | 1100L | ||
給油流量 | 1250L/min. | ||
給油圧力 | 560 kPa | ||
環油流量 | 328 L/min. | ||
オイルヒーター | 18.7 kW | ||
供試体潤滑装置 | 潤滑油 | MIL-L23699 | |
オイルタンク | 50 L | ||
給油流量 | 10 L/min. | ||
給油圧力 | 530 kPa | ||
環油流量 | 23 L/min. | ||
シール空気源装置 | 吐出流量 | 6.5 m³/min. | |
吐出圧力 | 700 kPa | ||
モータ動力 | 37 kW |
