笹森 萌奈美

航空システム研究ユニット 研究開発員
2012年3月東京農工大学工学部機械システム工学科卒業、2016年3月東京農工大学工学府機械システム工学専攻博士課程修了、2016年4月宇宙航空研究開発機構入社。
大学では乱流摩擦抵抗低減を目的としたリブレットの基礎研究に従事。
入社後も、リブレットに関する研究を行っている。

技術の芽を育み、社会に送りだす。技術と社会をつなぐ研究

― 現在の研究内容について教えてください。

空気と物体の間に生じる摩擦抵抗という空気抵抗を、リブレットと呼ばれる100㎛程度の細かい溝で低減する技術の研究を行っています。摩擦抵抗は一般的な亜音速旅客機に生じる空気抵抗の約半分を占めているため、摩擦抵抗を減らすことは航空機の燃費を改善し、環境性能を向上させることにつながります。リブレットに関する研究は以前から世界中で行われていますが、実用化のためには課題も多く、広く社会で使われるまでには至っていません。そこで、民間企業等と協力しながら、リブレットの実用化に向けた研究開発を行っています。

― JAXA航空技術部門を目指したきっかけ、理由を教えてください。

学生時代はリブレットの基礎研究をしていました。学生時代の研究活動を通して、リブレットに限らず世の中には社会の役に立ちそうな、いわば技術の芽ともいえる研究が沢山あると感じ、そのような技術の芽を育て社会に送り出す役割を担いたいと思うようになりました。そんな中で、JAXA航空技術部門であれば技術と社会を繋ぐような仕事が出来ると知り、目指すに至りました。

― 今後の目標を教えてください。

研究に関する目標は、学生時代から携わるリブレット技術を民間企業へ技術移転し、社会実装に繋げることです。今はツルツルが当たり前な航空機の表面が、近い将来にリブレットの設置でザラザラになる日が来てくれたら嬉しいです。自身の目標としては、航空分野で活かせる新しい技術の芽を沢山見つけながら、研究の幅を広げていきたいです。

― JAXA航空技術部門を目指す後輩にメッセージをお願いします

JAXA航空技術部門は、自身が携わった研究が技術として社会に出ていくまでの過程を間近で見られる楽しさもあり、とても面白いところだと思います。また、航空技術部門で行っている研究分野は多岐に渡り、様々な分野の研究者が研究活動を行っています。決して航空系の出身でないといけないことはなく(私自身も機械科出身です)、何か軸となる分野を有していれば、自身のバックグラウンドを活かしながら業務に貢献できると思います。自分の強みとなる分野は是非磨いてほしいと思います。


jaxaじまん

保育園があることです。プライベートでは2児の母をしており、「仕事もしたいし子育てもしたい」という葛藤が常にあります。子供の預け先がなければ仕事も思うように進めることはできないので、優先的に入れる保育施設の存在は子供を産む上でとても心強く、大変有難かったです。

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