宇宙航空研究開発機構

MuPAL-ε:真昼&真夜中@ヒートアイランド現象観測

汐留の高層ビル群と浜離宮恩賜庭園(手前)
本日から実験用ヘリコプタMuPAL-εを使ってヒートアイランド現象を観測する飛行試験が始まりました。
東京都港区の汐留地区を中心とする都心部と、都心部から北西方向の広域の観測に分けて飛行試験を実施します。

係留気球(左)とパイロットバルーンの放球(右)
この研究は首都大学東京(http://www.tmu.ac.jp/)との共同で実施しており、JAXAがヘリコプタを使った観測、首都大学東京が係留気球やパイロットバルーン等を使った地上からの観測を実施します。両方のデータを合わせてヒートアイランド現象の立体的な構造を従来に比べてより詳細に解明することにより、将来の都市計画に反映することが目的です。

それぞれの観測手段には一長一短があります。
ヘリコプタを使った場合、上空の風向・風速や温度・湿度の分布を精度良く計測できることが最大の特長ですが、反面、ヘリコプタが飛べる場所でしか観測できないという制約があります。
係留気球も精度の良い計測が可能ですが、やはり設置場所や高度・風速等の制約を受けます。今回の観測では汐留の高層ビル群に隣接する浜離宮から気球を上げました。
パイロットバルーンはこれらに比べてどこでも観測を行えるのがメリットですが、水平面内の風向・風速しか計測することができません。パイロットバルーンを放球した後の動きを専用の光学装置(測風経緯儀)で追跡し、そのデータから上空の風向・風速を計算します。

ドップラーライダ装置(三菱電機(株)提供)また、今回の観測では、レーザ光を上空に向けて発射し、大気中の微粒子(エアロゾル)による反射のドップラー効果を計測して上空の風向・風速を計算するという最新の装置(ドップラーライダ)も使われました。


実際に飛行した経路の例、都心部周辺(黒色、7日午後実施)と広域(白色、8日早朝実施)、右の図は 汐留・浜離宮周辺の飛行経路の拡大図(7日午後実施)日中のもっとも暑い時間帯のデータを取得するため、7日の飛行試験は昼間の12時30分頃に調布飛行場を離陸し、東京都心部、特に汐留と浜離宮の周辺を中心に飛行を行い、途中芝浦ヘリポートに2回着陸し、試験終了後は浦安へリポートに着陸しました(図4、図5)。

芝浦へリポートへの着陸(左)と離陸直後(右)、ヘリポートの正面にビルがあるので離陸後すぐに左旋回します。ヒートアイランド現象の解明には、1日のうちの大気の状態の変化を調べる必要があるため、引き続いて最低気温時を狙って8日の午前3時半頃から浦安へリポートを離陸し、都心から北西方向の広域を飛行しました。

夜間飛行の様子、計器板の中央にある実験用ディスプレイに目標経路等の情報を表示して飛行しました。7日の日中は概ね晴れて気温は33℃程度でした。8日未明の試験の際には曇りになり気温26℃、同じルートで高度を変えて3回計測する予定でしたが、途中で雨域が近づいてきたため一つの高度のデータだけを取得して試験は終了しました。
試験は今週一杯実施する予定ですが、あいにく台風の影響で天気は下り坂です。

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