宇宙航空研究開発機構

乱気流再び CAPSTONE@アラスカ

今日はパイロットを交替し、昨日と同じディスプレイ評価の実験フライトです。
午後からミーティングが予定されていたため、朝8時集合、9時過ぎテイクオフの早朝フライトとなりました。

飛行番号:FLT25
飛行時間:9:20-11: 15(1+55)
飛行空域:Merrill Field Airport-Lake Clark Pass-Merrill Field Airport

後席に乗る計測員は、昨日のフライトですっかり飛行機酔いしてしまい、まだ完全には治っていない状態でした。昨日のような激しいフライトにならないことを祈りつつ、レイク・クラーク・パスに向かいました。
離陸してすぐに、先行機が残していった後方乱気流に遭遇、ボナンザは大きく揺さぶられました。嫌な予感がします。
メリルフィールド空港周辺はそこそこ良いお天気だったのですが、道中、次第に雲や霧が増え、さらに嫌な予感が。

レイク・クラーク・パスに到着すると、ところどころ真っ白な霧が立ち込めていました。視程が低下した場合の手順を確認したのち、可能なところまで実施することになりました。

昨日と同じ、氷河が川に張り出している地点で、霧の下をかいくぐるように飛行する先行機を発見(写真の中央付近に機影)。

まずはMFDの表示を消し、外視界とPFDのみを使うフライトから開始です。
PFDに茶色で渓谷が表示されています。画面中の表示と、実際の地形とが一致しているかどうかも重要なデータです。

その後、パイロットに帽子を深くかぶってもらい、外視界が見えない状態にしてMFDをON/OFFし、フライトを続けました。
相変わらず気流は乱れており、さらにコックピットの窓を雨滴が流れていきました。

第1期ではフライト終了後、実験棟に戻ってからパイロットに評価シートへ記入してもらっていましたが、記憶の混乱を防ぎ、率直なコメントを得られるよう、今回はフライト中にコメントを聞き取り、データを全て取得するようにしています。
(ですが、揺れるフライト中に俯いて文字を書いたり画面を注視したりすることほど、酔いやすい行為はありません。今回は身をもって実感しました。)

昨日紹介した通り、ここレイク・クラーク・パスは東西に伸びる渓谷です。狭い渓谷のなかで機体を旋回させるため、機体を60度くらいまで傾けます(大型旅客機では通常、バンク角は大きくても30度程度)。この急旋回のため、乗組員には大きなG(重力)がかかります。

機体が60度も傾くと、真下にあるはずの川が自分の横手に見えてきます。旋回と急上昇の前にはPatrickさんから合図があるので、後席ではそれを聞いてGに備えます。

昨日から相変わらずの気流の乱れもあって、今日も計測員は酔い疲れました。それでも、当初予定していたケースを全て終了できたことは非常に喜ばしいことです。

ディスプレイ評価の実験フライトは今日で終了、来週からは別のミッションフライトが予定されています。

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